僕を守ってくれるんでしょ？

13-TH ページ13

「…可愛い」














俺の隣で子猫と遊んでいる綺麗な人













TH「ヌナって綺麗だよね…」




「え、何が？」











そう言われても照れることもしない

無表情な綺麗な人












「フリン…こっちだよ？」









笑顔になるのは猫の前だけ


きっとこの人はそうやって生きてきた人


誰にも愛されずに誰も信用できずに


育ってきた人









TH「…」














この人を綺麗だと思うのは


俺と同じだから


誰にも愛されずに育った俺と同じだから
















TH「ここの木の下最高じゃない？

風ちょー気持ちいい！！」










俺は大の字になって芝生の上に寝転がった











「あ…わ、私もっ」



TH「いひひっ！！別に全部真似しなくても良いのに！」
















そうやってヌナの顔を覗けば

















「…貴方自体が自由な気がするから」





TH「まぁ。確かに俺、縛られるの嫌いだしね」






「羨ましい…」






TH「えっ？」














そう呟くヌナ表情はまだ無表情のままだった
















「…なんて言っちゃいけないの」







TH「どうして？」















率直にヌナの言葉の意味が気になった





















「だって…私は生かして貰ってる側の人間だから」






TH「ヌナは…前の俺みたいだ」





















俺の存在を否定する奴らを

避けて逃げて育ってきた俺に似ている





















「…前の貴方？」






TH「…ん？…ってかさ？俺の名前覚えてる？」


















いや、さっきからちょっと気になってはいたんだけどさ


貴方しか言われてなくないか！！













TH「俺、テヒョン！！前も言ったのに！！」






「ごめんなさい。

私、家の人の名前しか覚えない主義のなの」









TH「その主義今すぐ撤回して！！

…でないとこのフリンは俺のものになる！！」









俺はフリンを抱き上げてヌナから取り上げると














「…ふん。」



















…不貞腐れてる？


















TH「…ぷっ、子供みたい」




「なっ、私は子供じゃない。貴方より大人」




TH「あ、また貴方って言ったー！！」









俺が初めて見たヌナの表情は

子供のような不貞腐れた顔だった。








大人とは思えないほど可愛いかった

14-JK→←12

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す