君と僕と私と。 (ページ11)

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電話。　T.F ページ11

深夜0時

まだ町は寝静まりきっていない時間。

見えない星を、見つけようと空を見上げる。

しばらくして、後ろからスマホのバイブ音が聞こえた。

部屋に戻って、切れてしまった電話をかけ直すと同時に、再びバルコニーにでる。

«prrrr………»

無機質なコール音。

不意にその音が鳴りやめば、聴こえてくるのは、

『もしもし?ごめん、起こした?』

愛しい彼の柔らかい声。

「んーん、起きてた。大丈夫。どうしたの?こんな時間になんて、珍しいやん。」

『あー…ちょっと、声聴きたくなって。』

「なにそれ。かわいい。」

『かわいいとか言わんとってやぁ。

かっこいいがええのに、』

「しゃあない、かわいいもんはかわいいんやから」

くだらない会話。

そんな会話でも、価値が見いだせるのは、

彼からの、電話だけだろう。

忙しい平日の深夜なんて、普通やったら起きてない。

ただ、水曜日だけは、大晴からの電話がくるから、起きてる。

べつに、起きてなくても、彼は絶対に怒らないのに。

そんなことで起きてる私は、おかしいのだろうか。