秘密39 ページ43
「ん…」
Aは目を覚まし、辺りに視線を泳がす。
そこには、自身の記憶にない見知らぬ男が、左手を両手で包み込むように強く、優しく握っていた。
Aは、記憶がなかったのだ＿＿
「あ、あの…」
「んぁ…？Aっ？A、起きたのか？」
今のAにとって松田は知らない男である。
そんな松田から名前を呼ばれてもピンと来ず、小さく首を傾げる。
そんなAを見て、松田は医師が言っていたことを思い出し、顔から血の気が引いていく感覚に襲われた。
「お前、自分の名前、分かるか？」
「えっと…分からない、です」
少し考えるような素振りを見せた後、小さく首を振ったA。
松田はそんなAを見つめて、優しく頭を撫でた。
＿＿まるで、以前Aの意識が戻るのを待っていた、あの時のように、優しく＿＿
「っ…」
途端、Aの頭に激痛が走った。
「大丈夫か！？」
「ごめんなさい…大丈夫です」
「…今、ナースコールで呼ぶから」
Aに敬語で返されたことにショックを受ける松田。
記憶がないのだから仕方ないことは分かっているが、やはり寂しいというのが、本心である。
「＿そうですね、無理に思い出すことはせず、急に何かのきっかけで思い出すこともありますから、焦らずゆっくりと向き合っていきましょう」
「…はい、ありがとうございます」
医師が病室を出ると、再びAと松田の2人きりの空間となる。
「痛い所ないか？」
「はい、大丈夫です」
「…敬語はいらない、同い年だとでも思って接して欲しい」
「…わかり…分かった」
Aの敬語が外れたことに少しの喜びを感じつつ、
記憶のことに関しては大きな不安を抱える松田であった。
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yuan_hina(プロフ) - solaさん» ありがとうございます！私本当は笑える系好きなんですよ()これからも頑張ります！ (2022年6月5日 22時) (
レス) id: 97066f6968 (このIDを非表示/違反報告)
sola(プロフ) - 27の"と思っていた()"でめっちゃ笑いましたwこれからも更新頑張ってください！ (2022年6月5日 22時) (レス) @page31 id: f1728775b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yuan | 作成日時：2022年5月21日 22時
