秘密27 ページ30
Aの瞳から一滴の涙が溢れた。
それをAの頬に手を添えていた松田が拭う。
「A、」
ゆっくりと名前を呼ぶ松田。
焦らなくていい、と目で伝える。
Aはやがて俯きかけていた顔を上げ、松田と目を合わせる。
「…私も、陣平くんが好きだよ」
波をいっぱい溜めた瞳で松田を見つめ、そう言ったA。
松田は困ったように笑い、Aを見つめる。
「…私、秘密ばっかだし、外で本名は使えないし、仕事も危ないことばっかだし、休みなんて全然取れないし、それにっ…」
早口で苦しそうに言うAが一度息を詰まらせた。
そして、また口を開く。
「…陣平くんとの時間、沢山ないかもしれない…傷付けること、沢山あるかもしれない…それでも、陣平くんのこと、本当に好きだし、大事にしてる…」
また、涙が一滴溢れた。
それを拭いながら、Aの顔を自分の方へゆっくりと近付ける松田。
「…こんな私だけど…それでもいいの?」
不安そうに尋ねるAを優しく包み込む松田。
「俺は、Aだからいいんだよ、Aじゃなきゃ意味ねぇよ、」
耳元で聞こえたその言葉に涙が溢れたA。
そんなAを自分の胸に抱え込んで、抱き締める力を強くする松田。
それに応えるように、松田の自分より一回りも大きい背中に細い腕を回して抱き締め返すA。
「愛してる」
「私も、」
一度離れてしまった2人は、こうしてまた、恋人同士となった。
とは言っても、彼女はまだ公安警察である。
姫咲志乃というもう1つの顔で日々生活している。
そんな彼女の抱えきれない程の秘密。
それすらも愛する彼女の恋人。
きっとこの2人にもう悲劇は訪れない_______
と、思っていた。()
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yuan_hina(プロフ) - solaさん» ありがとうございます!私本当は笑える系好きなんですよ()これからも頑張ります! (2022年6月5日 22時) (レス) id: 97066f6968 (このIDを非表示/違反報告)
sola(プロフ) - 27の"と思っていた()"でめっちゃ笑いましたwこれからも更新頑張ってください! (2022年6月5日 22時) (レス) @page31 id: f1728775b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yuan | 作成日時:2022年5月21日 22時