S.tiger【病系短編集】11

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Side松倉


倉「ちゃか、手伝いに来たよー。………あれ、ちゃか？」


調理グループのちゃかのところに行って声をかけるけれど、反応がない。もう一度名前を呼びながら肩を叩いてみると、ちゃかはゆっくり顔を上げた。



宮「…まつく、ら、」

倉「え、ちゃか！？ちょ、顔、」


一目で具合が悪いんだと分かるくらい、色のない顔。こんなに暑いのに不自然なくらい汗をかいてなくて、微妙に視線が合わない。



倉「ね、ねえ。ちゃか、具合悪いでしょ？」

宮「うん、ちょっと、頭痛い、かな…。」


苦しそうに言葉を切りながら、ちゃかが答える。こういう時って、どうしたらいいんだろう。


焦った俺は、スタッフさんを呼ぼうと一瞬ちゃかから目を離した。



その時だった。




―ドンッ



なにか、大きなものが落ちたような音。反射的に振り向くと、そこには地面に倒れこんでいるちゃかの姿があった。



倉「ちゃか！」


ほとんどパニックになったような状態で、ちゃかの体を抱き起す。ちゃかは小さなうめき声をあげるだけで、俺の声が聞こえているのかもわからない。



閑「松倉？どうした？」


俺の大きな声が聞こえたのか、メンバーとスタッフさんが駆け寄ってくる。俺の腕の中でぐったりしているちゃかを見た瞬間、その場に集まった全員の表情が凍り付いた。



如「ちゃか！？……ダメだ、いったん日陰に移動しよう！」


周りの人がいっせいに、あわただしく動き出す。放心状態の俺の腕から、ちゃかの体が離れていった。




倉「……っちゃか、ちゃか！」


我に返って、なんとか立ち上がる。力の入らない足を無理やり前に進めて、俺もちゃかのあとを追いかけた。

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