最後の砦【TOKYO MER】 (ページ9)

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ミーティング1【1話】ページ9

ミーティングのため、MERのスタッフルームにメンバーが集まってきている。
既にいるメンバーは、時間までスケジュールの確認をしたり、専門書を読んだり、喜多見に至っては日課のトレーニングをしている。

弦巻「おはようございます」

皆「「おはようございます」」

音羽「おはようございます。…何をしているんですか？」

喜多見「体幹ですよ、体幹トレーニング！一緒に汗流しますか？」

音羽「いや、医者にそこまでの筋力は…」

喜多見「いりますよ、MERの医者には！」

音羽「ミーティングの時間です。」

この話題をこれ以上議論しても無駄と判断したのか、音羽は会話を切り上げ、メンバーに書類を配り始めた。

音羽「第1回の出動に関して、私なりに簡単にレポートにまとめてみました。問題点や関係機関の反応を列挙しています。」

喜多見「やる気満々じゃないですか、音羽先生！」

A『おぉ…』

音羽「ミンさんには英語で作っておきました。」

ミン「ありがとうございます！」

弦巻「音羽先生が感じた問題点は、医師が危険を顧みずに医療行為をしていたことですか。」

音羽「ええ。その点は、関係機関も指摘しています。東京消防庁、レスキュー隊への行動妨害に関してクレーム。特に爆発の危険があったバス内に安全確認もせずに侵入した事が被害拡大のリスクがあったと批判。」

喜多見「千住隊長、怒ってましたもんね。」

音羽「警視庁、現場医療を展開する事によって警察車両が現場へ近づけなくなる状況へのクレーム。
日本医師会、医療従事者が現場で命の危機にさらされる事への懸念を表明。
厚生労働省医政局、危険な状況下でのオペや医療行為について国会への議論と法整備が必要と指摘。
結論として関係機関は、MERの活動はリスクやデメリットが大きく、今後は活動を縮小し制限するか、組織自体を解体すべきだと判断しています。」

蔵前「えっ」

A『むしろ初回でこれだけ意見が出るなら、改善の余地はあると思うんですけどね…』

冬木「まだ始まったばかりですし、いきなり解体ってのは無いですよね。」

音羽「厚労省は、まだMERに正式な認可を出した訳ではありません。今は、実験運用期間。その実験が失敗だと判断されれば、この組織は速やかに解体されます。」

音羽の“解散”の言葉に、メンバーが反応する。

ミン「嫌です！解体なんて！」

徳丸「お偉いさん達は嫌いみたいっすね、MER」

蔵前「こんなもんでしょ。新しい組織に対する風当たりなんて。」