イケメン過ぎて逆にモテねぇ！【Alan.S】２

#66 ページ19

結渚side



いってきまーす
って元気な声で出て行った亜嵐くん


昨日はアノ人と顔を合わせなくて済む日だったから、なんなく仕事へ行けた。
ただ、今日はそうも言ってられない。




『えぃッ！！』

『やぁっ！』




これあれだよ、某映画の某大抗争の時のアレだよ…

これ、教える亜嵐くんも亜嵐くんだけど、
覚えてる私も私だよな…




使ったら私のクビが飛びそうな技だけど、
今日また何かされたら本気で使ってやろうかな…


憂鬱な気分で家を出て、重い足取りで向かった会社


『…おはようございます』

「あ、きたっ！」

「上田、ちょっと…」

『は、はい…』






もう、知れ渡ってるのかな…
皆の視線が集まっている気がして、気が気じゃない




「どうぞ、座って？やっさんも」

『失礼します…』




チーフとやっさんに呼び出されたのは、小会議室

さっきから、普段と違ってやたら真剣なまなざしのチーフの雰囲気がこの空間をピリピリさせる




「…一昨日のことだけど」





下を向いていたチーフが、ふっと顔を上げて、私を見る





「……転勤処分になりました〜！！！」

安「しかも〜？」

「「長崎！」」

『な、なが…、えっ？』




なぜ、この二人はそんなに笑顔なのだろうか。
そして、なぜ、長崎…




「あれ、知らなかった？長崎支部への転勤は、うちの会社じゃ島流し同然」

『島流し…』

安「長崎が悪いってわけじゃないけどね。今むこうにいる部長が相当厄介な人だから、みんな嫌がってるみたい」

「洗礼を受けてもらおうじゃないの、ウチの子に手出した罰よ」

『…今日って、来られてるんですか、アノ人』

安「大丈夫。時代に沿ったリモートワークよ」

「…ごめんね、怖い思いさせちゃって…」





良かった、私のクビが飛ぶことはなかった…



チーフは、島流しになった先輩の仕事の引継ぎが残っているらしく、
慌てて会議室を出て行った。





安「亜嵐くんは？なんて？」

『バーニー時代の格闘技教えられて、いざとなったらこれでシめろ！って』

安「テレビで見たまんまだわ笑」

「でしょ、家でも画面越しでも、何一つ変わらないよ」

安「愛されてるね」

『うん。』

安「…惚気」

『んふ…笑』

安「…よかった、元気そうで」

『あんな目、もう二度と会いたくないけどね』




次誰かあんなことしてきたら、本気であの技使ってやる…
それで私のクビが飛んだら、亜嵐くんに養ってもらおう。うん。





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