8 ページ9
裕翔サイド
あれから5時間ほど働いて今は閉め作業中だ。
雄「なー、裕翔！」
「どうしたんですか？」
雄「薮から聞いたよ。お前大学でまだあの地味な格好らしいな！」
薮くんめ…すぐチクるんだから！
「あー、うん。そうだよ！」
圭「え？裕翔、まだあの格好してるの？」
こいつは岡本圭人。帰国子女でこのバイトで知り合った。とても優しくてなにかと波長が合うから仲良くしてる！
「うるさいなー！いいの！」
圭「今の裕翔の方がいいのにー。そしたら女の子とかも寄ってくるのにさ。」
「うっさい、うっさい！別に俺はモテなくていいの。…てか圭人早く手動かしてよね！」
圭「はいはい(笑)」
俺らはあーだこーだ言いながら閉め作業を進め、バイトが終わった。
裕・圭「お疲れ様でしたー」
雄「お疲れ！気をつけて帰れよ」
裕・圭「はーい」
裕「……じゃあ、圭人もまた明日ね！」
圭「うん！じゃあ明日」
そう言って俺は圭人とも別れて夜中だし大丈夫だろという考えで、今の姿のまま寮に向かった。
案の定寮に着くと人もおらず、いても真っ暗でほとんど見えない。俺はエレベーターに乗って7階まで上がった。降りて自分の部屋まで歩いていると・・・
！！！！
まさかの山田涼介が前からこちらに歩いてきていた。俺は思わず目を逸らしたまま歩き、すれ違うのを待った。
・・・・・よし、すれ違った。よかったー。と安心していると。
涼「…………おい」
声を掛けられてしまった。
立ち止まったはいいが振り返られずにいる。
涼「…聞いてんの？呼んでんだけど」
あー、やっぱり俺だよね。
俺は恐る恐る振り返った。
「……俺…ですか？」
涼「他に誰がいんだよ」
そうですよねー。
「…な、なんですか？」
涼「お前さー、あの昨日編入してきたダサ男だろ？…今日は全然雰囲気違うけど」
「…さ、さぁ？…誰でしょうか？」
いや、まずこんなにあなたと喋ったことないからびっくりなんだけど。
涼「…はっ、お前嘘つくの下手くそ」
「……」
涼「へぇ〜。そっちがホントのお前か。…なんであんなダサい格好にしてんの？」
「……あなたに言う必要ないですから。………このことは誰にも言わないでくださいね」
そう言って俺は過ぎ去ろうとした…が、できなかった。それは山田涼介が俺の腕を掴んだから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みさ | 作成日時：2020年8月24日 22時
