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裕翔サイド
宏「お前、その黒縁メガネとそのダサい髪型と服装でいるつもりか？」
実は俺の格好は黒縁メガネをかけて、前髪も伸ばした状態で服装も微妙にダサい格好である。
「……うん。そのつもり」
宏「本当はカッコよくて服装もオシャレなのに、どうしていつも学校に行くとなるとそうなるの？」
「……皆から寄って集られるの嫌いだし」
宏「でも、バイトの時とかは本当のお前でいくだろ？」
「それは…俺がバイトしてるところはほぼ常連客ばかりだし。それにそこも最初はこの格好で行ったもん。」
宏「…ははっ(笑)そうだったな！でも高木に言われたんだっけ？」
「…うん。もっとちゃんとした格好にしろって。ここのお客はみんな信頼できる人だからって。」
宏「そっか。」
「本当の俺というか、信じてるのは薮くんと雄也くんだけだよ。…後は大ちゃんもかな。」
宏「有岡か。…確かに俺から見てもあいつは信じられるやつだと思う！…その有岡にも早くお前の本当の姿見せられる日がくるといいな！それと……お前のことを心から愛してくれる人がくることを願ってるよ。」
「…そうだね。……でも愛してくれる人なんていないと思うけどね。愛というのがどういうものなのか、俺にはわかんないし。どうせ裏切られるだけだよ」
宏「裕翔…。でもn」
「……じゃあ、大ちゃん待ってるから行くね」
宏「あ、おいっ！」
バタン
俺はこれ以上聞きたくなくて逃げるように扉を閉めた。……愛なんて俺にはいらない。必要ないんだ。
薮くんと実は知り合いで俺の家の横の家に住んでいて小さい時から俺のお兄ちゃん的な存在だった。ここに編入したのも、薮くんの紹介だし。いつも優しくて俺の事を気にかけてくれる人で大好きな人だけど、その優しさが少し苦手だったりもする。
いいんだ、俺は。このままで。
そんなことを思っていると・・・
大「裕翔！」
大ちゃんが走って俺のところに駆け寄った。
「…ごめんね。遅くなって。」
大「全然！…じゃあ、この学校を簡単に案内するよ。その後に一緒に寮に行こう！」
「…う、うん。ありがたいんだけど、大ちゃんは授業とかは大丈夫なの？」
大「大丈夫、大丈夫！今日はもう終わったから」
「そうなんだ。…じゃあ、お願いします！」
大「はーい！任せて！…ふふ。行こっ！」
最初に会った人が大ちゃんで良かった。
俺のこの格好を見ても普通に接してくれる。
まだ出会って時間も経ってないのに初めて、信じてもいいかなと思えた人。
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作者名：みさ | 作成日時：2020年8月24日 22時
