罪-crime- (ページ34)

今日:10 hit、昨日:10 hit、合計:29,889 hit

33 ページ34

大貴サイド

今俺は1130番達の罰を終え、看守室で今回の報告書を作成中。……俺たちが終わってから結構経つのに、山田は全く帰ってくる気配がない。

そわそわしてると、窓の外から山田が見えた。
俺は急いで山田に駆け寄った。

「山田…主任！……！！！！」

お姫様抱っこされている810番は気を失っていた。服も破けていて前よりもボロボロの状態だった。

「これ……鞭したの？」

涼「…？あぁ。やった。」

こいつ鬼すぎるだろ。…まあ810番も悪いけど。

涼「医務室連れていくから、医務室の扉開けてくんね？」

「…わ、わかった。」

そうして俺は山田と医務室に行き、今日は810番はこのまま医務室で過ごすことになった。鞭で打たれた身体は傷だらけで、消毒する時も意識はないが痛そうにする姿が見られた。

めずらしく山田は手当されている810番を見ていた。

「…お前は今から看守長のところ？」

涼「…あぁ。行ってくる。あいつらやこいつの処分を決めにな。」

「そうか。…1130番達ならともかく、810番は独房暮らし…だよな」

涼「…………そうはさせない」

え？い、今なんて？

「俺の…聞き間違い？」

涼「…は？…何言ってんの？お前！」

「いや、だって」

涼「今回はあいつらだけのせいではない。元はと言えば松田看守が悪い。…だから独房行きは絶対にさせない」

「山田…。」

やっぱり前言撤回。こいつは鬼じゃない。柔らかくなったよ。いつもなら今回みたいに受刑者だけが悪くなくても、そうさせてたのに。

それも…810番のおかげか…。
でも………

「薮看守長はそう簡単にはいかないだろう」

そう。ここの長。薮看守長。背も高く一見優しそうだが、この刑務所のトップを張るくらいの人だ。とても冷酷な人だ。

涼「…そうだろうな。でも、俺ももう逃げない。」

「え？」

涼「今まで主任になったことで、期待に応えなきゃと思う一心で受刑者達にも理不尽なことで罰を与えてた。けど……あいつと接していくうちにこのままじゃダメだと思った。…もちろんダメなところは今後も容赦なく罰を与えていくつもり。けど…」

「俺もだよ。」

涼「え？」

「俺も。そう思う。だから一緒に薮看守長に頭下げる。」

涼「大貴……ありがとう」

「810番がお前を変えてくれたんだね。……好きなんだろ？」

涼「！！！なんで…」