― 05 過去の傷痕. ページ6
dt, side.
ここに住む人の予定は、廊下に置いてある
ホワイトボードに書いてある。
各自、予定が分かり次第記入していく。
本日のホワイトボードチェック。
今日１日仕事が休みなのは、ひかるさんと目黒。
その二人と、一緒に食器を洗っていた。
「舘さん、コップの場所はここでいい？」
「ええ。そこにお願いします。」
ひかるさんの手元を見て次に目を見て頷く。
目黒は、ひたすら全員分のお皿を
洗い続けてくれている。
朝食を食べた後、
すぐに仕事に向かった佐久間と康二。
阿部は作業に戻るから。と
朝食を食べると、すぐ眠気覚ましに、と。
コーヒを一気に飲んで
階段を駈け上がっていった。
深澤さんは今日も謎。
あの人は謎が多い人だから。
ここの皆は俺の作るご飯を美味しそうに
食べてくれるから幸せだ。
..必要としてくれていることが、
本当に幸せなんだ。
― ― ― ―
あの頃は、
何かが割れる音。怒鳴り声。
その度に、アイツが泣いていた。
それが日常茶飯事だった。
［ 〜 ..！！ ］
［〜....！］
誰かと誰かが、罵り合う声。
悲鳴に近い叫び声。
強く耳を塞いでいても
何かを叫んでる ということは分かる。
“また”だ。と思った。
― ― ― ― ―
何で、思い出すんだろう。
何で、まだ忘れられないのかな。
今は幸せなのに。
「宮舘さん。」
目黒に軽く肩を叩かれ、
慌てて平静を装って見つめ返す。
「皿を持った状態でボーッとするのは
危ないんで、止めてもらっていいですか。」
「ああ..うん。」
気持ちを切り替えて続行しようとすると、
目黒に手首を掴まれた。
「..またボーッとされたら危ないし、邪魔です。
ソファにでも座っててください」
俺の返事よりも先に、
てきぱきと俺が居た場所の片付けを始めた。
隣でひかるさんは、同調したようで強く頷いた。
..ど正論だ。ここは任せてしまおう。
「ありがとう」
２人にお礼を言うと、
怪我人見たくないんで。と淡々と言う目黒と、
舘さんはいつも朝飯作ってくれてるし、
皿洗いくらいする！と明るく言うひかるさん。
..優しいな。やっぱり。
大人しくリビングにあるソファに腰をかけ、
ゆっくり体重を後ろにかけた。
..今は、あの頃とは違って、
ここで優しい人たちに囲まれて。
幸せなのに。
何であの日々を忘れられない..？
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作者名：侑(*´-`) | 作成日時：2021年5月11日 1時
