−19 二面性 ページ21
− 翌日の14：00 −
fk side.
「ラウは学校ですか？」
ソファで漫画を読んでいたら、
目黒から声をかけられた。
学生だからそうだろ。と何でそんな質問？と
思いながらも「そうだよ」と答える。
「何か、意外。俺に聞いてくるって。
ラウールのことなら俺よりも、
お前の方がよく知ってると思ってたから。」
他人のこと、よく見てるし。
自覚はないようだけどコイツは洞察力がある。
何よりラウールのことを、
ここに居る他の誰のことよりも
優先的に気にかけてる存在であるのは
目黒で間違いないのに。
ラウール自身も、心を開いてるみたいだし。
その自信はあります。と即答で言いきった。
ひかるさんほどではないけど。と
付け足すように言った。
「..何かラウールのことで、
気になることでもあったとか？」
目黒は頷く。
「具体的に何かあったとか、
そういうことはないんですけど。」
そう前置きをおいた後、一瞬の躊躇い。
ゆっくり口を開いて話し始めた。
「なんとなく..なんとなく、なんです。
心ここに在らず？というか。
だから見ていて無性に不安になるんです。
怖い..です。」
..目黒が弱音なんて、初めてのことだった。
だから俺、思わず黙っちゃって。
目黒はいつだって、強いやつだと思ってた。
「..怖い、です。」
目黒は窓の外を見て、またポツリと呟いた。
誰かと、重ねたように。
その言葉の後、こちらを振り返り
確認するように俺に問う。
「..ね、大丈夫ですよね？」
正直、何の根拠もないけれど。
安心させるために、
「大丈夫だよ！！」とだけ答えた。
それを聞いて、少しホッとしたように
少し彼は微笑んだ。
俺は特に何も異変とか感じてなかったし。
目黒は“大丈夫だよ”って言葉を
その言葉を待ってるように思ったから。
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作者名：侑(*´-`) | 作成日時：2021年5月11日 1時
