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wtnb, side.
そこには寝ているはずの、
あべがコーヒーを飲んでいた。
そのコップからは湯気がでていて
先ほど入れたことが分かる。
こんな時間にコーヒー、って..
寝る気ないのかよ..
「翔太、寝れないの..？」
「..目が覚めた」
俺の視線に気づき、一瞬驚いた表情になり
心配そうに見つめてくるあべに、
ぶっきらぼうにそう伝えた。
.. 何も
インスタントコーヒーにお湯を入れた後、
冷蔵庫から牛乳を取り出して少しだけ注ぐ。
「.. こんな時間にコーヒーは、
寝れなくなっちゃうよ。」
なんて言い出すもんだから。
ちょっとイラッとしてしまって。
「それさ、人のこと言えねえだろ。
お前も飲んでんじゃん。
俺は、もう、寝たくないから、だから..。」
いつもより少しだけ、強めの口調で応えた。
一瞬、先ほどの悪夢を思い出して、少し苦しくなった。
あべは、
「..それなら俺もだよ」と。
呟くようにそれだけ言った後、
視線をコップに移す。
「..え？」
まだ湯気が出ているコーヒーに、
ふー、ふー、と何度も息を吹きかけながら、
こちらを一切見ずに飲んでいた。
まるで“何も聞くな”と、
拒絶しているように感じた。
寝れないじゃなくて寝たくない、っていうのは..
あべも似たような理由なのかな..
..それなら何も言えない。
自分が触れないでほしいことに、
触れようとは思わないから。
沈黙が流れて、何となく気まずい雰囲気。
仲が悪いわけじゃないんだけど。
隣でゆっくりコーヒーを飲んでると
あべの気遣いなのか、
不意に「..寒いね」と声をかけられた。
「.. まだ冬だから」と返す。
気の利いた返しが浮かばなかった。
ab「明日、もっと寒いかな？」
「さあ..どうなんだろう。」
会話を強制的に終わらせたいわけじゃない、
どう会話したらいいか分からなくて。
ab「寒すぎると嫌だなぁ..」
「..冷え性？」
ab「うーん。寒がり。」
あべは苦々しく笑い、
そんな中身のない会話を何度か繰り返した。
「..俺、部屋に戻るね」
いつの間にか、コーヒーを飲み終えていて
気づいたらコップを洗い終えていた。
ほんと、いつの間に？
部屋のドアノブに手を添えたあべに、
そんな言葉をかけられる。
「.. ん」
俺が頷いたのを確認し、
あべは階段をのぼって行った。
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作者名：侑(*´-`) | 作成日時：2021年5月11日 1時
