９つの零れた涙２ (ページ8)

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fk side.

― 12:30

メッセージアプリでやり取りし、約束の時間に。

　
｢話って何？｣

扉が開く音がして反射的に顔をあげれば、

開口一番にひかるは訊ねた。

本来は昼休憩のひかるに申し訳ないけど、
俺の中のモヤモヤを吐き出すことにした。

俺の知らないことをひかるは知ってるから。

｢佐久間、何か隠してるよね？｣

以前ひかるから聞いたことで感じた違和感。

目黒は“笑顔が引きつってるようにみえた”とか。

佐久間の「転んだ」という言葉を、

信じた人も居たらしいが俺は嘘だと思った。

ひかるは俺の目を見て頷き、

｢確実に｣と。

「俺にも親友のあべにも一度も連絡しないで。
遅れて帰ってきたことが、どうしても気になる。
顔の怪我もね。｣

顔に怪我..

人前に立つからこそ、大事にするはず。

今日の朝、俺がしずかにと言った時、

佐久間は両手で口を隠した。

で、俺の問いかけに対して両手を口から離した。

転ぶ時に咄嗟に出るはずのその手には、

擦り傷１つなかった。パッと見ただけだけど。

顔には痛々しい痣ができてるのに、

手は無傷で綺麗なまま…ってことあるのかな。

せきずい反射？ってやつは？

肘とかは分かんない、服で隠れてるから。

そこには傷があるかもしれない。

けど‥

｢..そうは思いたくないんだけどね｣

次の言葉を待つように

黙って俺を見つめるひかるから、

俺は目を逸らさずにゆっくり口を開いた。

　

｢誰かにやられたから、とか。なんて可能性..｣

そんな風に思いたくないのに。

何となくだけどそう思ってしまった。

その問いかけに一瞬、間があいて。

｢俺もそう思うよ。｣

悲しげな表情で、言った。

俺の言葉を否定してほしかった。

"それはさすがにない"って言ってほしかった。

佐久間は、何を１人で抱え込んでるの。