９つの零れた涙２ (ページ29)

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skm side.

夕食を食べ終わり、
自分の部屋で横になろうと階段をのぼった先には、
俺の部屋の前であべちゃんが立っていた。

「あべちゃ‥」

「さくま、お腹痛いの？」

俺が口を開いたとき、

すぐに遮るようにあべちゃんが問う。

「ご飯食べてるときに時々お腹を擦ってたから。」

俺が頷くと、表情が暗くなった。

あべちゃんには、いつまでも隠し通せない。
何となくそんな気がしたから。

何度も暗い顔を見ることが辛かったから。

何があったのか、今、話すべきなのかもしれない。

「あべちゃんに話したいことがある」

それだけ言うと、何かを察したようで

今度はあべちゃんが頷き、部屋に入ってもらった。

パタン、と扉を閉めれば、ゆっくり深呼吸。

「あべちゃん、あのね‥」

本当はこれは転んだ怪我じゃないってこと。
‥本当は、暴力をふるわれてること。

それが、ずーっと日常的に続いてること。

風邪をひいたのは嘘だったこと、
それほど仕事に行くことが辛かったこと。

１つ、１つ。抱えていたものを話した。

「話してくれてありがとう」

なぜか、その声は震えていた。

あべちゃんの瞳から

今にも涙が零れ落ちそうだった。