９つの零れた涙２ (ページ24)

今日:5 hit、昨日:21 hit、合計:157,759 hit

― 55 ページ24

kj side.

めめがあべちゃんに頭を下げていた？

なんでそんなこと‥

ラウールくんが目撃した光景を聞いて、
思わず耳を疑った。

彼があべちゃんが嫌がることをするわけない。

あべちゃんが怯えてたなんて…

でもラウールくんが嘘ついてるように見えないし、
ここで嘘をつく理由もないと思う。

めめを大事に思ってるなら、尚更。

２人の会話の内容までは聞こえなかったらしい。

めめに、何があったのか聞いたか訊ねると
「分からないです」と言う。

めめに聞かなかったみたいやな‥
‥それとも聞けなかった、が正しいのかな。

見たという光景から考えて、
多分‥あべちゃんは話してくれそうにない。

それにラウールくんも戸惑ったと思う。

「頼ってほしい、って伝えたんですけど…
めめからは"ありがとう"しか返ってこなくて」

「…僕が子どもだから、ですかね」

どこか一点を見つめていた顔を上げて、
悲しそうに眉を下げてラウールくんは言った。

ありがとう、か。

僕なら、拒絶されたと思ってしまう。

「僕はそれは違う、と思う。根拠ないけど、
子どもだからとかじゃないと思うよ」

首を横に振って否定した。
　

‥本音はめめにしか分からんけどな。

"子どもだから"

それを肯定してしまうのは酷な気がした。

だって‥年の差なんてどうしようもできないのに。

この時、

僕のことを一瞥(いちべつ)し、

目を伏せたラウールくんは何を思ってたのかな。