９つの零れた涙２ (ページ23)

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同日 ― 13:00

昨夜、予定が記入されているスケッチボードに
向井くんが明日休みであることを確認した後、
水性ペンを取り出し"ラウール休み"と記入した。

改めてめめのことで話がしたかったから。

訳あり揃いだから、これが嘘だと気づかれても
責められることはまずないだろう。

トークアプリで"話がしたい"ということを伝え、
13時過ぎに部屋に来てもらうことにした。

めめとひかるさんしか入れなかった部屋に。

自分の心境の変化を実感した。

コンコンッと控えめなノックがして、
ゆっくりと扉を開けると向井くんが立っていた。

「入ってもいい？」

向井くんのその言葉に、頷く。

彼を部屋に入れるとゆっくり扉を閉めた。

「…どう言葉にしたらいいか、分からないけど」

「めめのこと？」

向井くんの問いかけに、無言で頷く。

この人をどこまで信じていいのかな。
この期(ご)に及んでそんなことを思ってしまった。

あいつらとは違う。と。

それは分かるのに"人が怖い"という思考は、
まだ僕の中にあるみたいで。

黙ってた僕に対して何か察してくれたのか、
「ゆっくりでええよ」と背中を擦ってくれた。

「この話…誰にも言わないでくれますか？」

向井くんを見つめて問いかければ、
真っ直ぐな瞳でゆっくり大きく頷いてくれた。

この人を、信じたい。

「めめと、…あべさんのことなんですけど」

　