９つの零れた涙２ (ページ13)

今日:7 hit、昨日:21 hit、合計:157,761 hit

― 44 ページ13

dt side.

阿部が何か悩んでる姿をみてほっとけなくて、
過保護なくらいに干渉する目黒と。

翔太を守ることだけを考えてきた自分が重なった。

朝食にも降りてこないのは、
さすがに俺も心配になったけどね。

一度、阿部と翔太が重なった。

だからかもしれない。
阿部に声をかけてみようと思ったのは。

「今、一階に誰も居ないから食べたら？」

部屋から出てきた彼は、目は潤んでて
鼻が赤く染まってるし。

泣いてたことが明らかだったけど、
気づいてないフリをした。

..涙の理由は昨日の目黒とのことだろうか。

目黒も何か悩みを抱えてるから、

ここに居るのに。

１番年下のラウールくん？だったり。
阿部のことだったり。
他人の心配してばっかりだな..

俺も翔太に過保護と思われてるのかな。

思わずため息が溢れたら、何か誤解したのか
すぐに「ごめんなさい」と謝るから、
慌てて首を横に振った。

「違う、俺の問題だから」

分かりやすく、腑に落ちないという顔。
けど本当に違う。

「皆が悩んで辿り着いた先がここだから。
阿部が何かを、抱え込んでるのは知ってる。
何なのかまでは知らないけどね。」

あべは俯いていた顔を上げ、頷いた。

俺の目を見つめれば

「俺ら、敵じゃないもんね」

と。

何で急にあべがこんなことを言ったのか、
分からなかったけど。

「俺はそう思ってるよ」

今度は言い聞かせたわけじゃなくて
それは、心からの言葉だった。