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pink
それをみて、声帯をとられたみたいに声が出なかった。
出そうとしても、荒い息と一緒に吐きだされるだけ。
だってしおりには、『13時：宮城 班別研修』の文字。
黄「…じゅり、北斗今宮城にいるの」
まるで何かのBGMみたいに、テレビから大津波警報を知らせる切羽詰まったアナウンサーの声が聞こえる。
青「…っうん、ほくと、海の公園にいったあと水族館に行くっていってた」
桃「海の公園？それってどこだかわかる？」
青「…ううん、分かんない」
双子の弟が怖い思いをしているかもしれないなんて知ったらそりゃショックだろうね。
俺の胸もとに頭をぐりぐりしてくる。
…熱、あがってきちゃったかな。
いつも熱出すのは北斗だし、ひさしぶりなのにこんなことあったらしんどいのは俺にもわかる。
ぴーんぽーん、
黄「…誰だろ、ちょっと出てくる」
桃「うん」
兄ちゃんが玄関に行ってしばらくすると、どたどたと足音が聞こえてくる。
緑「ただいま！！すごかったよね！ぐらぐらって！！」
赤「ただいま！すごかった！すごかった！！」
黄「…まだなんかあったらって友達のお母さんが送ってきてくれたのよ、騒がしくなるなあ」
桃「お前ら勉強会しにいったのに遊んでたとかないよな」
ぎくっ、という効果音でもつきそうなくらいあからさまに止まるふたり。図星だね。
桃「…先生から電話来てるからね？ふたりとも課題が溜まりに溜まってますって。はい、やってきて？」
緑「大我兄ちゃんあざとい顔でゆうからさぁ！じぇすいくよ」
赤「バカーバカー」
桃「…おやつ抜きな」
黄「ほら、行く！」
ふたりはまたどたばた足音を響かせて2階に向かっていった。
そしてまた、嵐が過ぎ去ったように静かになる。
樹もすこし休もっか、と声をかけようと口を開こうとしたとき。
樹がテレビを見ながら泣いているのに気づいた。
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作者名：夜々 | 作成日時：2024年1月7日 9時
