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pink
いつも騒がしい我が家にしては、今日は静かな日だったと思う。
三男の樹が赤ちゃんぶりの発熱で少しはバタバタしていたけど特にうるさい五男と四男は友達の家で勉強会という名のお泊り会をしているから。
四男の北斗は修学旅行。
樹が行けないなら行かない、って聞かなかったんだけどやっぱりせっかくの行事だし行ってほしくて送り出したのは昨日の朝のこと。
北海道に行ったあと東北を巡ってくるらしい。贅沢だな、俺なんてディズニーだけで日帰りだったのに。
黄「やっぱり樹熱下がんないね」
桃「ショックだったんじゃない？めちゃくちゃ楽しみにしてたからね、」
黄「…北斗が帰ってきたら旅行連れてってあげようね」
桃「そーだね」
ギャンギャンに泣き散らかしていた樹を思い出すと心が痛くなる。
黄「いやー、にしても静かでいいね」
桃「友達の家に迷惑かけてないといいけど」
黄「ほんとにやってそうで怖いからやめてよね笑」
桃「ごめんごめん、つい笑」
そんな冗談を言いながらテレビをつけてちょうどやっていた路線バスやらなんやらを乗り継ぐ番組をつけて、スマホをいじる。
束の間の休息ってやつ。
あ、このスイーツおいしそう。
この犬かわいい。
桃「ねぇ、みてよこれ＿＿」
この犬北斗みたいじゃない？
そう、兄ちゃんに伝えようとした。
それを言葉にする前に机の上に置かれていたマグカップが音を立てて倒れてコーヒーが溢れる。
弟たちが金魚すくいでとった金魚が入った水槽が大きくゆれて、写真立てが床に落ちる。
桃「…え、」
黄「っ、じしん！！大我机の下いて！」
桃「…まって、にいちゃ、」
黄「俺樹つれてくるから」
ぐらぐら、ぐらぐらと揺れてなにかががしゃんと割れる音がする。
スマホから流れる警報と異常なほどの揺れに、うまれてはじめて命の危機を感じた。
黄「じゅりつれてきた！揺れもおさまってきたっぽい、」
桃「じゅり！大丈夫だった！？」
青「おれはだいじょぶ、なんかわれた、？」
桃「お皿かな、後で片付けようね」
机の下から出ると、テレビでも早速報道されていた。
震源地は、宮城。
黄「…え、宮城って」
桃「北斗、北斗はいまどこにいるの！？」
青「ほくと、ほくと、これ」
樹はそう言って大事そうに握りしめていた修学旅行のしおりをおれたちにわたした。
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作者名：夜々 | 作成日時：2024年1月7日 9時
