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『で、どうだった?久々のサシコラボは』
「どうって、」
口角の上がっている彼の顔が想像できてしまうのが悔しくて仕方ない。
彼のことを優しいだなんて皆言うけど、私には意地悪しかしてこないのなんでよ
「かなかなが期待しているようなことなんて何にもないよ、ほんとに」
『配信前とか話してないの?』
「話したけど、大したことじゃないし。というかしっかり配信見てたの?」
『そりゃ見るでしょ』
同業者に気持ちが察されることだけは避けてたのに、つまらなさそうに返事をするこの男だけには何故かバレたのだ。
勿論、私が外堀から埋めるために好きなことを言いふらしたわけではない。
流石は5年の絆、といったところか。
『まあ2人は友達だろうが恋人だろうが、どんな形であれ仲良くやると思うし僕的にはすごーくどうでもいいんだけど』
「どうでもいいってなに…」
『問題はそこじゃなくて、朱宮さん』
急に改まって呼びかけられた名前に対面しているわけではないのに心なしか背筋が伸びる。
それ以外の問題なんて私には思いつかないのだけど??
『今まで広げた人脈どうするつもり?』
「人脈…?どういうこと?」
『朱宮たち2人がサシをしない間に色んなカップリングができたでしょ、あの回収は?』
「え、カップリングなんてリスナーが勝手に作ったものでしょ?回収ってなに?」
『…わかってないなぁ、ほんと』
かなかなが言ってることの方がわかんないよ、全然。
カップリングなんてリスナーが盛り上がりを足すために些細な出来事にまで‘てえてえ’ポイントを作ってるだけで、私たち活動者が何かすることでもないのに。
寧ろカップリングが私たちに影響を及ぼすのなら、今こんなに悩んでないでしょう。
『朱宮は付き合いたいの?』
「誰と?」
『1人しかいないでしょ』
私が悶々としている間に彼の中での話題は変わっていたらしく、またもや脈絡のない質問。
「付き合いたい、なんて思ったこと…」
『嫉妬は?』
「嫉妬?」
嫉妬なんてかわいらしい感情、私が持ち合わせているのだろうか。
どれだけ私と仲良くしてくれていた女性活動者でも彼と賑やかにしている所を見れば嫌悪感を抱いてしまう、きっとそんな感情を持って接しているわけではないのに。
自分のエゴサをしていれば目に入る彼のリスナーや所謂リア恋勢1人1人に胸中でマウントを取らなければやり過ごせないほど。
「嫉妬なんて、できるわけないじゃん」
ヤキモチなんて焼き切っている。
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wn(プロフ) - 全部お話読みましたー!めちゃめちゃ好きなお話なのですぐここまで読めちゃいました♡drmさん好きなのでうれしいです☺︎これからも更新頑張ってください!待ってます☺︎! (9月28日 1時) (レス) id: 373120d77d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いかろ | 作成日時:2023年5月7日 15時