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雄也も涼介も、バカなんじゃないかと思った。
来たことない場所に連れてこられて、右も左も分からない大貴にどうしたい？って。
分かるわけないじゃん。
ましてや自分の意思なんてほとんど持てずに生きてきた子なのに。
だから、強引に。
行きつけの店なら、僕も勝手が分かる。
サイズ的にも間違いないでしょ。
大貴にはちょっと悪いけど、とにかくたくさん試着させて、反応が良かったものを数着買った。
強引な自覚があったから、ちょっとだけ不安で大貴の顔を見たら、思いのほか嬉しそうだった。
2人には、ほらねって自慢したい気分。
ブラブラ歩いていると、そういえばお腹空いたなぁと思いつく。
「ね、お昼は何食べたい？」
大貴にそう尋ねると、ここに着いたときみたいな困り顔に変わっていく。
前に好きな食べ物聞いた時も、食べれればなんでもいいって言ってたし、返事に困るんだろうな。
ここは無難にフードコートかな？
「じゃあフードコート行こ」
と、僕の心の中を読んだみたいに言ったのは雄也。
あ、先越された。
「フードコート……？」
「色んな食べ物屋さんが並んでるところ。
そこなら食べたいもの見つかるかもしれないし。
ね、行ってみない？」
「あ…、うん……」
そうして、フードコートへ行くことになった。
場所をとって、雄也と大貴が決め回ってる間、僕と涼介は席でお留守番。
涼介は不満そう。
「なんで俺が留守番…」
「しょうがないでしょ、涼介が遅いんだから」
「だってさぁ……、強引なのもかわいそうかなって…」
「教えてあげないと、強引もなにもないでしょ」
「そうだけど……」
さっきから僕と雄也にいいとこどりをされて、気に食わない様子。
涼介にとって、大貴は特に大切な存在だから、強引というのも気が引けるみたい。
だからって、大貴が居なくなった瞬間うじうじすんのも辞めてほしいけどね。
「僕、遠慮しないからね」
「ちょっとくらいしてくれてもいいじゃん」
「涼介もさっさと覚悟決めなよ」
「えーー……」
その後も、涼介がえーとかうーとか言ってる間に、2人が戻ってきた。
大貴が戻ってきたことに気づいた涼介は、がたん、と席を立ったかと思うと、歩いていってしまった。
それを見た雄也は苦笑いだし、大貴は不思議そう。
「ほっといてあげて、ちょっとバカなだけだから」
そう言って、涼介を追うように僕も席を立った。
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作者名：まり | 作成日時：2022年10月30日 15時
