瞬間 ページ42
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俺の趣味の一つがカメラ。
昔おじいちゃんが、処分しようと思うけど一つどうかと古いカメラをくれたのがきっかけで、どこへ行くにも必ず持っていくようになった。
ハウスに来てからも、カメラを持ってふらりと出かけることがある。
みんなもそれを知っているから、いってらっしゃいと送り出してくれる。
今日は快晴。
ちょうど運動不足も感じていたし、散歩も兼ねてなにか撮ろうと決めてリビングへ降りた。
「散歩行ってくるね」
「はーい、いってらっしゃい」
キッチンにいた光くんにそう声を掛け靴を履いていると、あ！っと声が聞こえる。
振り向くと、キッチンにいたはずの光くんが、玄関にいる俺のところまで駆け寄ってきていた。
「どうしたの？」
「ね、大ちゃんも連れ出してくんない？」
「え？」
いきなりのお願いに、戸惑う声が出てしまう。
「大ちゃんさ、ずっと勉強がんばってるじゃん」
「うん」
「でもここ最近、なんか行き詰まってるぽくて」
「あー…」
なんとなく感じ取ってはいた。
まぁ勉強なんてずっと続けられるものじゃないし、そういう時もあるよな、と見ていたけど。
よく大ちゃんの様子を見ている光くんは、かなり気にしているようだった。
「気分転換に散歩でも行ったら？って言ってたんだけど、大ちゃんほら、あんま一人で外歩きたくなさそうだし」
「うん」
「裕翔と一緒なら行きやすいかなって。
お願いできない？」
光くんの言いたいことが分かって、俺も快諾。
さっそく大ちゃんの元へ向かう。
「ね、大ちゃん」
「…あれ、散歩行くって言ってなかった？」
集中しているようできちんと聞こえていたらしい。
「一緒に散歩行かない？」
そう声をかけると、少し悩んだような素振りの後、……うん、行く、ちょっと待ってて、と片付け始めた。
突然誘ったけど、意外とあっさりだったなぁ。
ぼーっと大ちゃんを待っていると、着替えてきたのか、部屋着よりきちんとした格好をしていた。
「ごめん、待たせて」
「ううん、そんな待ってないよ。行こ」
「うん」
今度こそ靴を履いて、2人でハウスを出た。
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作者名：まり | 作成日時：2022年10月30日 15時
