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夕方から夜に変わる時間。
俺たちは仕事に行くためにハウスを出る。
日によってバラつきはあるけど、大ちゃん以外は同じ仕事なので、みんな大体この時間。
大ちゃんが来る前は、みんな揃って出てハウスを空けることが多かった。
でも、大ちゃんは自分では言わないけど、特に夜に1人になることを恐れているようで。
それから、なるべく1人にさせないように、休みを調節して誰かがハウスに残るようになっていた。
今日は雄也が休みの日。
仕事に出る時間になると、大ちゃんと休みの人は必ず玄関までお見送りに出てくれる。
「今日は予定通り戻れると思う」
「分かった。無理はしないでね」
「おう」
薮ちゃんと雄也がそう会話を交わすと、じゃあ行こっか、と玄関の扉に手をかける光くん。
と、その前に大事な儀式。
「ほら、有岡くん」
「うん……」
毎日のことなのに、恥ずかしそうにもじもじする大ちゃんはかわいい。
正直、それだけで天にも昇れそう。
でもこの後、もっとかわいいものが待ってる。
あ、ほら。
「…いって、らっしゃい」
小さな声でのお見送りと、照れを隠せないまま見せる控えめな笑顔。
「っ！！！！」
「いってきます！」
「いい子で待っててね」
声も出ない俺と、そんな俺を気にもかけずに口々に返事を返すみんな。
そして、今度こそ玄関の扉を開けて仕事へと向かう。
俺はというと、最後まで声が出ないまま引っ張られてハウスを出る。
「山田、毎日毎日同じことやってて飽きないの？」
「聞こえてないよ多分」
「大ちゃん大好きも困ったもんだねぇ」
「ほんとね」
気づいたら仕事場に着いていて、今日も返事ができなかったと落ち込む俺。
それもまた、みんなにとっては見慣れた日常らしい。
「はーー……」
「仕事前にでっかいため息つくの、やめてくれる？」
人一倍俺に冷たい知念の言葉も今は届かない。
今ごろ、雄也が大ちゃんと二人きりでハウスにいると思うと…！
「くそっ……！」
「涼介ー、そろそろ開けるよーー」
「羨ましいっ……」
「涼介！！」
「っはい！！ごめんなさい！！！」
いけないいけない、仕事だ。
返事ができなかったとはいえ、大ちゃんに送り出されたんだからきちんとしないと。
はーあ、早く帰りたい！！！！
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作者名：まり | 作成日時：2022年10月30日 15時
