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「ストレス性の発熱だと思う。
慣れない環境で色々がんばってたし、仕方ないんじゃない？」
ちぃはあっけらかんとそう言った。
大ちゃんの熱は38度を越えていて、ほんとにそれだけなのかと疑いたくもなったけど。
ちぃが治療において嘘をついたことはないし。
そう自分を納得させた。
確かに、大ちゃんはすごくがんばっていた。
ハウスに来て1週間は、部屋にこもりきりで、俺たちとの接触を避けていたように見えた大ちゃん。
でもやまと出かけたあの日を境に、家事を手伝ったり、敬語を辞めたり、自分から会話をしたり。
本人がどう考えていたかは分からないけど、傍目から見ても大ちゃんのがんばりは一目瞭然だった。
さっきまでバタバタしていたのが嘘かのように、大ちゃんの部屋の周りが静まり返る。
ちぃは医者として、みんなに説明をした。
「多分大貴自身も気づいてなかったと思うよ。
でも一気に環境が変われば、少なからず体は疲れる。
それが今回、発熱って形で出てきたんだと思う。
そんな気にすることじゃないよ」
その言葉に、ちょっとだけ救われて。
早く元気になるといいね。
そう言って、部屋を後にした。
5時間後。
「大貴が起きたよ」
ちぃのその声に、みんなでぞろぞろと大ちゃんの部屋に向かう。
そっと覗くと、あ……、と大ちゃんは俯いた。
「熱はだいぶ下がったよ。
今日はまだ絶対安静だけど、大人しくしてればすぐ元気になるから」
ちぃのその言葉を聞いて、うん、ありがとう…と小さく返事をした大ちゃんは、なんだか消えてしまいそうだった。
なんとも言えない空気が漂う。
すると、突然、あーあ！なんて大きな声が聞こえて、思わずそちらを見た。
声の持ち主は、やま。
「みんな暗くなっちゃってさ！！
ちぃが大丈夫って言ってるんだから大丈夫に決まってんじゃん！
てか、俺の時だって同じようなことあったし！？
一々騒いでらんないよ！」
そう言うと、くるっと後ろを向いて、リビングの方へ歩いていってしまった。
「やまちゃん…」
「はーあ…」
口に出さなくても分かる。
あれはやまなりの気遣いなんだよね。
みんなもそれが分かっているのか、顔を見合せて苦笑い。
「よし、じゃああとは知念に任せたわ。
大ちゃん、ゆっくり休むんだよ」
今度は薮ちゃんのその声を皮切りに、みんなで部屋から退散。
早く元気になってね、大ちゃん。
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作者名：まり | 作成日時：2022年10月30日 15時
