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「っ！！！」
「どうかいたしましたか？」
腰に感じたぞわっとした悪寒とともに、隣からなめるような声がきこえた。
見なくても分かる。オーナーだ。
思わず、お客様から目を逸らして俯く。
「オーナー……」
さっきまで取り乱していたナンバー2も、オーナーの登場に意識が戻ってきたらしい。
「少し、こちらが賑やかだったのもので、何かあったのかと思いまして」
「っ……」
そうにこやかに言うオーナーの手は、俺の腰から離れない。
「あぁ、いえ、お騒がせしてすみません」
お客様は、おれからオーナーに目を向ける。
「この子はボーイですので、お客様の前に出すようなものではないのです。
御無礼、失礼致しました」
そう言ってオーナーは、おれの腰に手を置いたまま軽く頭を下げた。
「……っ、すみませんでした……」
おれも、頭を下げるしかない。
「あぁ、いえ」
お客様はにこやかなまま。
「それは全然いいんですけどね。その子の名前を「さて」…」
「ナンバー1もおつけしますので、どうぞ、夜の時間を楽しんでください。ごゆっくり」
オーナーは、お客様の言葉をそう遮ってまた軽く頭を下げると、腰から手を離し、バックヤードへ去っていた。
ナンバー2はおれを睨み続けている。
その場にいられなくなったおれも、深く頭を下げて、そのお客様と重い空気から逃げ出した。
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作者名：まり | 作成日時：2022年9月12日 18時
