〖６〗 ページ33
hk
あれから3日。
大ちゃんが働いていた月影と話をし、大ちゃんが退職をすること、不当な労働についてそれ相応の罪を償うことが正式に決まった。
雇用の理由から条件まですべて不当だったから、大ちゃんには慰謝料として多額のお金が入ることになった。
大ちゃんは受け取れない、と頑なに拒否をしていたけど、山田の説得のもと、なんとか大ちゃんの手元に渡った。
大ちゃんはずっとハウスで過ごしている。
前に住んでいた場所も正式に退去して、仕事も辞めたので働く場所も無く。
ときどき様子を覗きにいっている山田いわく、何も無い部屋でただボーッとしているらしかった。
ご飯やお風呂のときは呼べば来るけど、会話は必要最低限で、誰とも関わろうとしなかった。
ガチャ
「大ちゃんいる？」
身支度を整えたらしい山田が、大ちゃんを探しにリビングにやってきた。
あいにくリビングには、俺と薮と知念しかいなかった。
「いないよ、部屋じゃない？」
「ふーん」
そう返事をして山田は大ちゃんの部屋に向かったかと思うと、すぐに声が聞こえてきた。
「ほら、早く！」
山田が腕を引いているのは大ちゃん。
いつもハウスにいる格好より少し綺麗めな服を着て、山田に引かれるがままリビングへ降りてきた。
「ねぇ、山田、ちょっと……」
「いいから！！」
強引に腕を引いた山田は、そのまま玄関へ向かっていった。
「車のカギ借りる！」
「え、山田どっか行くの？」
「夜ご飯までには戻るから！」
叫ぶようにそう言い、2人は出ていった。
「…あれ、なに？」
「なんだろうね」
リビングで一部始終を見ていた俺たちは、何が起きたのかよく分からず。
「1番混乱してそうなのは大ちゃんだろうね」
薮の言う通り、大ちゃんはただ強引に連れ出されただけに見えた。
まぁでも………
「涼介なら大丈夫でしょ」
「だな」
「うん」
大ちゃんのことを誰よりも想っている山田だし、心配することないよね。
そう思い直し、俺たちは自分の仕事に戻った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 159人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まり | 作成日時：2022年9月12日 18時
