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★9-8 ページ31

薮side



…今俺は、猛烈に困っている。


山田敏郎(以下、敏)「…で、出来損ないのお前が、今さら俺になんの用だ」

山「っ……」


警察官になり、上司の俺と一緒に実家を訪ねに来たという設定で山田の家に入ることができた。

…と、ここまではよかった。
無事に山田敏郎(山田の実父かつ今回のターゲット)に会えたものの。
会った瞬間、山田は黙ってしまった。


敏「わざわざ上司まで連れて、何しに来た?」

山「……」

薮「…山田くんは、よく働いてます。とても良い部下ですよ」

敏「…だとしたら、お前は俺の前ではできないフリしてたってことだよなぁ?」

山「っ…」


何を言われても返さない山田。
…というより、返せないのか?
口を動かそうとはしているものの、声が出る気配はない。


薮『…山田?大丈夫?』

山『…どうしよう、薮ちゃん…』


回線で話しかけると、頼りない返事が返ってきた。


薮『どうした?』

山『……会う前までは、大丈夫だって思ってたんだ。
でも、いざ会うと…、昔のことを思い出しちゃって、上手く話せない……!!』


おそらく山田は、父親に大きなトラウマを持っている。
本人が話したがらなかったし聞かずにきたけど、失敗だったか…。

どうする…?
山田が話さないことには、作戦は進まない。
……一か八か、賭けてみるしかない。


薮『…涼介、聞こえる?』

山『…うん』

薮『分かってると思うけど、涼介が話さないことにはここに来た意味が無い』

山『…うん』

薮『だけど俺は、涼介に無理はさせたくないよ』

山『…え?』

薮『だから涼介は、俺に言いたいことを伝えてくれ』

山『……っ!』


正直、この方法は情報を得にくい。
でも、今この場を乗り切るには、これが最善だと思う。


薮『任務に必要な情報は俺が聞き出すし、涼介は黙っててくれていい。
その代わり、もし涼介がターゲットに言いたいことがあれば、回線で俺に伝えてくれ。
俺は、その通りターゲットに伝える。
これなら、涼介はターゲットと話さなくてもいい。
そうだろ?』

山『っでも、俺は…』


涼介は責任感が強いから、何も出来ない自分を悔やんで、JUMPを辞めようとすら考えるはず。
でも……


薮『…辛い思いをするのがわかってて連れてきたんだ。
今は無理しなくていい。
…ただし、任務の離脱は許さない。
辞めるなんて、もってのほかだからね。』

山『薮ちゃん……』

薮『じゃあ、話し始めるよ』

山『ありがとう…』

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作者名:まり | 作成日時:2019年1月15日 17時

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