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□8-7 ページ23

薮side
ーーー5時間後ーーー


大ちゃんは5時間前、静かに戦闘実験室に入っていった。
そろそろ出てくると思うんだけど…。


『実験を終了します』


ガチャ


戦闘室がそう告げて、部屋が開いた。


薮「大ちゃん…!」

有「やぶ、くん……」

薮「…あっ!ぶね…」


部屋から、足取りもおぼつかない大ちゃんがでてきた。
倒れそうになった大ちゃんをとっさに支える。


薮「…おつかれ。よくがんばったね」

有「……ん」


コツコツ


黒「終わったか」


…このタイミングで…。
静かに帰らせてくれればいいのに…。


黒「今回はかなり手加減した。
次回はいつも以上だと思っておけよ、有岡」

有「っ……」


コツコツ


既に限界の大ちゃんに、追い討ちをかけるようなことを言って去っていった。


薮「…大ちゃん、帰ろっか」

有「うん…」


もう自分で動けない大ちゃんを抱えて車に向かう。
大ちゃんを後部座席に寝かせて、静かに車を出発させた。
大ちゃんは苦しそうに呻いて、顔をしかめていた。


薮「っ……」


伊野尾に連絡を入れ、基地に車を走らせる。
やっぱり、こんなにつらそうな大ちゃんを見てられない。
なんとか解決策を探したいんだけど、黒橋さんがいる限り変わらないことも分かってる。
くそっ……。















薮「大ちゃん、着いたよ。伊野尾に見てもらおうね」


すでに返事のない大ちゃんを抱えて基地に戻る。


ガチャ


山「…おかえり」

知「大貴…」

薮「ただいま」


伊野尾、話したんだな…。
顔つきがいつもと違う。


伊「薮」

薮「伊野尾」

伊「医務室に運んで。すぐに見るよ」

薮「うん」


大ちゃんを抱えて医務室に連れていく。


伊「…意識、ないんだね」

薮「車の中で眠ったよ」

伊「そっか…。
大ちゃんはしばらくここで見てるし、薮も休んできなよ」

薮「頼んだ」


ガチャ


リビングに戻ると、みんながこっちを見ていた。


山「大ちゃんは…?」

薮「眠ってるよ。しばらくは休ませる」

山「そっか…」

薮「伊野尾に、聞いたんだろ?」

知「うん」

薮「だったら、お前らも大ちゃん支えてやってくれ。頼む」

知「当たり前でしょ?」

山「うん、俺らにできることをやるよ」


こいつら、いつの間にこんなに頼れるようになったんだろうな…。


薮「…ありがとう」


大ちゃん、みんなはこんなあったかいよ。
遠慮しないで、頼れるようになったらいいね。

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作者名:まり | 作成日時:2019年1月15日 17時

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