したたかな玻璃�� ページ47
よく晴れた日。私は3人の少年の隊服を持って蝶屋敷――しのぶさんのお屋敷へと訪れていた。
この屋敷は相変わらず良い匂いがする。季節も季節、花盛りでもあるのだろう。
「Aさま！」
「こんにちは、すみちゃん。竈門くん、我妻くん、嘴平くんの隊服を届けに来ました」
「はーい。こちらです！」
「あ、……アオイちゃん。こちら、しのぶさんへお渡し下さい。高槻屋さんのマドレーヌとちょこれいとです。最近ハイカラなものがお好きとお伺いしたので皆さんで食べて下さいね」
「分かりました、お渡ししておきます。ありがとうございます、Aさん」
相変わらずアオイちゃんはキビキビとしている。二つ結びの髪が揺れるのを横目にすみちゃんの後ろを着いていく。
きよちゃんとなほちゃんは今別のところでお仕事中なのだろうか。
キィ、とドアが開けば鮮やかな金髪が真っ先に目に飛び込んできた。
「善逸さん、隊服が届きましたよ！」
「……え、まって、そ、そそそその、美人なお姉さん、誰？！？！？？？？」
「初めまして。裁縫係のAと申します。えぇと……我妻善逸くんですね」
「はい、我妻善逸です！失礼ですがお姉さんご結婚は！」
「していますね。はい、これが君の分の隊服です」
元気過ぎて内心引いた。そのまま彼の隊服の入った袋を手渡して、傍にあった椅子に腰掛ける。
心無しか落ち込んでいる様子の我妻くん。何か失礼でもしたんだろうか、ごめんなさい、気付けないです。
「嘴平くんと竈門くんは？」
「今二人は訓練中です。……あの、裁縫係って隠？じゃないんですか？」
「隠ですよ。私、藤の家の出身で"菱田屋"っていう仕立て屋の娘なんです。裁縫係の皆さんの指導をさせて頂いたご縁で鬼殺隊には入隊せず働かせて頂いています」
「へえ……。あ、二人共もう戻ってくるみたいです」
その言葉通りに暫くしてから戻ってきた二人はゲッソリしていた。猪頭の少年に面食らってしまった。
彼はすぐに布団に入ってしまったのでもしこっちの額に傷のある少年が嘴平伊之助くんだったら私は困る。竈門くんに会いに来たのだ。
「……善逸？その美人なお姉さんは？」
「裁縫係のAさんだって。俺らの隊服持ってきてくれたってよ」
「そっか、隊服。ありがとうございます」
「いいえ。えーっと、君は……」
「竈門炭治郎です」
「奥の少年にはこっち渡してあげて下さい、……君は少し、いいですか。お話があるので庭の方にでも行きましょうか」
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作者名：うに | 作成日時：2019年8月21日 22時
