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しばらく話して盛り上がってたら
作家さんたちもちらほらと集まり出した
「少し、他の参加者の方と話してきます」
森「分かった、楽しんで」
「ありがとう」
他の参加者ってことは要はライバルだけど
作家コミュニティーは大切だし
テレビで放送されるってことは目玉とする
売れてる作家さんもいたりするわけで
「こんばんは、Aと申します。
よかったらご一緒してもよろしいですか？」
広めの屋上はベンチが２つ向かい合わせにあって
そこには注目の作家さんや少し年上の方
大体が30代くらいかな
「こんばんは」
「こんばんは」
優しそうな人たちで笑顔で
挨拶を返してくれた
「Aさんはスタッフさんと
仲がいいんだね、年が近いからかな？」
「皆さん気さくな人たちで
気遣ってか声をかけてくれるんです」
「そう、それだけだといいね」
「え……？」
眼鏡をかけた白シャツの男性の言葉は
意味深で、わざとらしい
「あ、すみません。脚本を考えながら
話してしまうのが癖でつい、変な物言いを」
「職業病だね」
「お恥ずかしい」
「……」
弁解も、相槌も、何だか嫌な感じ
知らない話題を話されているみたいだ。
「でも、まぁ…」
「？」
「期待されてる証拠だ。
彼女は声もかからない。ふふ」
「うるさいわね、あんたもでしょ」
白シャツのひとが視線を送った先には、
1人柵にもたれかかってタバコを吸っている女性がいた
「あんまりうつつ抜かすと何も残らないわよ」
たしかに賞を取るために来たのに
緊張が足りてないとは思った
けど、それと他に意味があるような台詞だ
「……失礼します」
うーん、夜風でも当たりに散歩行こうかな
花火の資料全然撮ってないけど
夜の方が涼しくて気持ちがいいし
森「A」
「あ、森本さん」
森「もう帰るの？」
「ううん、散歩」
森「俺も行っていい？」
「え、あー……」
さっきの会話が頭をよぎって
視線を参加者さんの方に向けると
皆さん興味なさそうに花火をみていた
森「A？」
「1人で考えたいから…ごめんなさい」
森「分かった。気をつけてね」
“それだけだといいね”
優しい笑顔をみて浮かぶ、さっきの言葉。
森本さんは意図的に私に近付いてるとか？
脚本のネタになりそうだな、なんて
裏があってもいいとも思う
どうせこの1週間だけだし
殺人なんて悲しい言葉使わないで、描きたいから
私にとって
森本さんの笑顔は魅力的。
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作者名：あり
| 作成日時：2019年9月14日 2時
