39P Tanaka side ページ39
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下の片付けを終わらせ、ひと段落ついていたら
Aさんだけがマグカップを片付けに降りて来て
その横顔は悲しそうだったから
気付かれないうちに屋上に来た。
慎太郎が落ち込んでるかもしんないじゃん
田「……風邪引くぞ」
森「樹〜、寒いよ〜」
ソファで1人深く座る慎太郎は
思った通り、Aさんと同じ顔をしてた
何があったかは俺からは聞かない
だってオンエアで分かるだろうし
田「ほら上着」
森「ありがとう」
ソファの肘掛けに腰掛けて
男2人で夜景を眺めた
もう夜遅いのに東京は窮屈なまでに明るい
森「北斗は？寝た？」
田「いやマネージャーと明日のドラマ撮影の話してる」
森「そっか、北斗すごいよね」
田「うん。みんなすげー頑張ってる」
目の前の仕事はどんどん重なって
新しい課題はその度に増える
俺らの目標は漠然としていてあまりにもデカく
そのステージに辿り着くための道は
対、人というとても繊細な道だから
田「慎太郎もドラマ決まったし、頑張れよ」
森「はーい、頑張りマリウス」
田「人のをテキトーに使うなよ」
森「だめか」
田「だめ」
メンバーがいるから頑張れる
こいつらとだから持てた目標だから
その道を支え合いながら渡りたい。
だけど
田「自分に嘘付いたらちゃんと教えろよ」
森「…教えたら嘘つけてないじゃん」
田「俺らは6人で1人だからいーんだよ」
無い机を叩く仕草をして勢いよく言うと
慎太郎は、何だよそれ、と笑った。
邪道だっていい
ステージにはよじ登ったっていい
それが俺ららしければそれでいいんだよ。
その分道は険しいけど
努力を怠るやつはこのグループにはいないから
森「A、傷付けて……」
田「……」
森「謝っちゃった」
苦しそうな慎太郎の気持ちを
全部は理解してやれないけど
この台本に対する怒りは静かにわいた
芸能界を描いた舞台や漫画、小説の売り文句として
よく使われる“ 欲望の世界 ”とはよく言ったもので
俺に伸びる無数の手を想像して
少し身体が震えた
田「…この撮影が終わったらどうしたい？」
森「……」
田「もしAさんか選ばれなかったら
慎太郎が主演に選ばれなかったら」
それでもその欲望の中で自分を見失わず
もっとも欲した者だけが辿り着けるとこを
俺たちが目指すなら
田「Aと会う理由が無くなったら
慎太郎はどうしたい？」
森「…俺は…」
常に問いかけなきゃいけない
自分が次、何をしたいか
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作者名：あり
| 作成日時：2019年9月14日 2時
