22P Your side ページ22
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「ふぅ……休憩しようかな…」
朝から書き進め気付いたら外は赤い綺麗な夕暮れ
お昼クッキーしか食べてないから
お腹空いたなぁ…
でも何か買ってこないと何もないや
「…い。……むな！」
「ー！」
「……？」
イヤホンを外すと何やら
誰かの怒ってる声が下から聞こえた
塩「執筆中にこんなもの……不快だ！」
ドアに近付いて耳を澄ませば
塩見さんの声……？
明らかに誰かに怒っている声がした
何があったのか気になってドアノブに手をかけると
大「静かに書ければ何でもいいわ」
階段を登ってきているのか
大見謝さんの声もはっきり聞こえた
大「……媚びるなら」
媚びる……？
大「私たちより簡単に取り入れる子選びなさい」
誰に、話してるんだろう
それに簡単に取り入れるって……
大「あ、聞こえてたらごめんなさい？」
「……」
え、もしかして私の部屋に向かって話してる？
てことは簡単な子って、私……？
状況が分からず
握ったドアノブ回すことなく
また机に戻った
今出たら説明聞けるんだろうけど……
「……」
取り入るから花火の時の会話を連想した
やっぱり私に話しかける理由があったって事？
じゃぁ塩見さんが怒ってるのは森本さん……？
「……あれ」
ちょっと……悲しい…？
花火の日はそれでもいいと、思ったのに…
脚本関係なく森本さんに惹かれてたのかもしれない
“ 望んで亡くなったんだよ ”
「……」
自分で書いた書きかけの話のラスト
警察にそう言われた主人公は
“ 冬に、この町に、殺されたんだ ”
そう答えたけど
「……違うよね……」
悲しいという感情のまま私は、
そのセリフに二重線を引き
隣に新しいセリフを書き足した
“ ……俺が殺した ”
きっと貴方ならそう言うと
自分が傷付く方が楽だよねと、
塩「あと3日自分の家で書かせていただく！」
「塩見さん！」
下で怒鳴り声が響く中
手は沢山動いた
「ふざけるなっお前のせいで！」
「……」
……昔から怒鳴り声には慣れてるのに
書いたあらすじを読み直してから
紙をぐしゃぐしゃに丸めた
「……」
「塩見さん！待ってくださいっ」
……やっぱり脚本は嫌い
心情を描くことのない書き方は端的で
言動に自分が出てしまいやすいから
この部屋からも
小説の中からも
ずっと出て来れないままの自分が
私は好きじゃないのに
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作者名：あり
| 作成日時：2019年9月14日 2時
