18P Your side ページ18
.
種「明日から夜に進行状況の確認を含めた
撮影を行いたいのですが、時間の希望ありますか？」
初日の説明でも聞いていた
編集さんの催促電話みたいな撮影
いつも締め切りがギリギリになる私からしたら
ちょっと憂鬱……
「……出来るだけ遅い時間で……」
種「22時で如何ですか？」
「それで、お願いします」
また森本さんと話せたら
話書き進めれるのになぁ
種「明日の予定は決められてますか？」
「部屋でそろそろ籠ろうかなと思ってます」
とりあえず椅子に座るだけだけど。
座ってる姿勢が1番想像が広がるから
種「カメラ設置しても大丈夫ですか？」
「自分で切ったりしてもいいですか？」
種「はい。出来るだけ回して頂ければ」
撮影されることに慣れてなく疲れるから
カメラがずっと回っている状況は避けたい
まだ部屋にも慣れてないし
まぁ……せっかく仕事休みだし
昼寝とかしたいのも本音だけど
「スタッフの方、今種田さんだけですか？」
種「…泊まってるA担当のスタッフ5人の内
私含めた2人しか今はいません」
「……」
今朝森本さんにも思ったけど
なんだか種田さんからも少し距離を感じる
お仕事モードなのかな
種「Aさん？」
「あ、ごめんなさい。そうなんですね」
種「…他質問や要望があれば遠慮なく言って下さい
では、失礼します。お疲れ様です」
他の参加者さんたちとも時間の調節があるのか
種田さんは足早にリビングを出て行ってしまった
夜２０時過ぎのリビングは
外からも音が聞こえず寂しさを感じる。
まだ、秋の虫は鳴かない
「……」
一人でキッチンからリビングを見渡すと
見た目が全然違う実家のリビングを思い出した。
思い出したというよりは
情景が重なったよう。
夕方の、あの静かなリビング…
中学校から帰るといつも、親は仕事で居なくて
部活に入っていなかった私は、
静かなリビングで一人小説を読んでいた。
「ココア……どこだろ」
小説の世界に入りやすかったし
あの時間が嫌いだったわけじゃない。
でも本から視線が外れると襲ってくる
寂しいという感覚が、苦手だった。
「……」
……森本さん帰ってくるの待っててもいいかな
脚本のためにもっと知りたいし
もっと話したい
でも帰って来たことに気付くためには
リビングで待つしかないし…
連絡先交換出来たらいいのに
……それこそ馴れ馴れし過ぎかな？
少しだけ待ってみよう
小説も、ココアもあるし
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 128人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あり
| 作成日時：2019年9月14日 2時
