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『ねぇっ、離れて、嫌っ』
嫌なんかじゃない。
本当は会いたくて仕方がなかった。
口に出してはいけない言葉たちを飲みこんで、わたしは嘘を吐くんだ。
「話、聞いてほしいんだ。」
『ききたくない、帰って。』
「お願いだから……」
この時のわたしはきっとどうかしていた。
ちゃんと優太くんの話を聞けばよかったのかもしれないけど、頭の中は自分が間違った道に進んでしまわないように、どうやって関係を絶つかということばかり考えていたから。
「とりあえず入れてよ。おねがい。」
玄関先で喧嘩まがいなことをするのもあれだし
とりあえず優太くんを家にいれて、わたしは少し離れた場所に座った。
「この前はごめん。謝りに来た……」
『うん、大丈夫。』
「あの時ファミレスで会ったの、俺の彼女。」
『だと思った。』
優太くんは何の話をしに来たのだろうか。
そんなこと言われて何と返せばいいのだ。
「俺、ちゃんとケジメつけようと思ってる。」
わたしとの、意味のわからない中途半端な関係に
わざわざケジメをつけに来たというのだろうか。
優太くんと過ごしたたった2ヶ月くらいの期間は
わたしにとって幸せなもので。
優太くんにさえ相手がいなければ、これは誰も咎められるようなものじゃない、綺麗な恋だった。
自分でも舞い上がっていたのかもしれない。
彼女がいても、わたしのこと少しくらい……なんて
アホらしい。
「なあ、A。」
優太くんがおもむろに立ち上がり、わたしの目の前にしゃがんだ。
グッと縮まった距離に、今から何が起こるか分からないほど馬鹿じゃない。
『……ついてんじゃん。』
少し期待して見てしまった優太くんの右手。
外されていない輝くリング。
優太くんの綺麗な瞳が、わたしを捉えた時
『最低ッ。もう帰って。』
彼の胸を押し返して、低い声でそう告げた。
結局優太くんは何をしに来たのだろう。
怪しい友達の関係から、ついに浮気の関係にでもするつもりだったの？
「…………ごめん。」
彼のいなくなった部屋で
わたしの頬を1粒の涙が伝った。
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いむ(プロフ) - はじめまして。最近るるさんの作品を知って楽しませていただいています。岸担なのですが、るるさんの書く廉くんがどれも大好きで、今回も廉くんを気にして読んでしまいました（笑）切ないお話が好きなので、るるさんの書き方が大好きです！ありがとうございました！ (2020年10月21日 14時) (
レス) id: 0c590071b4 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - シナモンさん» シナモンさん＊コメントありがとうございます！お返事遅くなりました（ ; ; ）たくさん褒めていただけてほんとに嬉しいですし、これからの更新の糧になります（ ; ; ）お話が大好きと言ってもらえることが何よりの励みです！新作の方もよろしければご覧下さい！ (2018年7月22日 8時) (レス) id: 76e7965f2e (このIDを非表示/違反報告)
シナモン(プロフ) - 初めまして。ひとつの秘密がすごく好きで、このお話も読みました。岸くん、男らしくて素敵。ハッピーエンドで良かった。ひとつの秘密の方もすごく楽しみだったので、終わってしまって淋しいです(＞＜)るるさんの、お話大好きです！ (2018年7月16日 22時) (レス) id: 47acdbf9f5 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます（ ; ; ）少しずつの更新になってしまいますが頑張りますので今後もよろしくお願いします（ ; ; ）！ (2018年6月20日 12時) (レス) id: 76e7965f2e (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - 続きがとても気になります^ ^！お忙しいとは思いますが、頑張ってください！更新楽しみに待ってます！ (2018年6月19日 16時) (レス) id: 0969061b66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るる
| 作成日時：2018年6月6日 23時
