涼風譚 拾参

フェロモン ページ21

夜、眠るために夫婦の寝室に戻ると先にAがベッドに座っていた。

『あ、浩二さんおかえりなさい』

気配に気付くと顔をあげ微笑んでくれる。

それがいつもと違う気がした。

「A何か変えた？シャンプーとか。」

『変えてませんよ？夫婦なんですから変わってないのわかるじゃないですか！』

僕に擦り寄りながら返事をする。

「ん〜なんだろ...なにか変わったことは？」

『ないですよ〜！あ、』

「あ？」

『浩二さんが居るからかも知れませんね！』

「ずっと一緒じゃない」

『それはそうなんですけど！落ち着かない状況ですけど、浩二さんがずぅっと居てくれるから...』

腕に抱きつきながら話すA。

「そう。僕が居るからそんなにフェロモン...色気漏れてるんだ。」

『フェロモン？』

「うん。いつもの可愛いAに色気が出て...誰にも見せたくないくらい。」

『ちーちゃんみたいになれますかね？』

「あの子とはまた違うね。AはAだもの。また仕事行けるようになるまでにはその色気どうにかしてよ？」

『そう言われても...』

「だって僕の我慢も効かなくなりそう」

ゆっくり押し倒しながら話す。

『いつもじゃ...』

「いつもAには誘われてるね。いいじゃん、家から出ないんだから。...いいよね？」

『浩二さんだから許すんですよ？』

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