“ありがとう”を 貴女に…【短編集】vol.3

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小さい頃から体の弱かった私

入退院を繰り返し、幼稚園も小学校もろくに通ったことはなかった

だから友達なんていなかったし、小学校に行っても、いつもひとりぼっち


病院で友達が出来ても、その子達は、私よりも先に退院していって、ここでも私はひとりだった



“なんで私は、お家に帰れないのっ？”

と、ダダをこねたり


ひとり病室を抜け出そうとして、怒られたことも 一度や二度じゃない



どうして 私だけ……

そんな事 思ってたって仕方がないと、気付いた時


私は、自分の殻に閉じこもった


どうせ仲良くなったって、どんなに笑い合ったって、私はいつも置いてきぼり


“また、会いにくるね”

そう言って退院していった子達が、私に会いに来てくれたことなんて、一度もない

悲しい思いをするくらいなら、友達なんて作らなければいい


私は いつも ひとりぼっち



それで、いい………




あれだけ嫌がってた検査や注射も、苦い薬も、淡々と受け入れてこなすようになった私を見て

「Aちゃん、強いわね〜。えらい えらい」

と看護師さん達は褒めてくれたけど、口の悪い男の子達は


「アイツ、人形 みたいだな」


と言われるようになった



そんな悪口言われても、全く動じない私

反応がなくて、面白くなくなったのか、そんな悪口もすぐに消えていった




そんな私の唯一の楽しみは、本を読むこと

自分が物語の主人公になって、お話の世界に入り込む


その世界なら、私は元気な女の子だから……



今日はどのお話にしようかな？

お気に入りの一冊を手に取り、空想の世界に飛び立とうとした時


いつも以上に騒がしい、病室前の廊下に気を取られて、現実世界に引き戻された

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