赤い星2 妖怪学園Y 〜N遭〜

本当の気持ち ページ14

『…ジンペイ』



名前を呼ばれて振り返ると、寝る前に頭の中にいた本人が立っていた。

白納とした話が蘇ったのもあったが、Tシャツに短パンといういつもより露出がある姿を見てドキッとしてしまった。

「どうしたんだ？
こんな時間に」

『いや、ただ、寝れなくてな』

すぐ傍に来たジンペイをどうしても意識してしまい、反射的に顔を反らす。

窓から空を見上げて、「お！満月か！」と感嘆の声を上げる横顔を思わずじっと見てしまい、こちらを向いた彼に気づかれる。

「どうした？」

『！！
いや、なんでもない』

うつむいて顔を隠してなんでもない風を装った。

が、ダメだった。

ふわっと両頬を包まれ、そのまま顔を合わせる形になる。

子供っぽい、でもほんの少したくましい、暖かい手。

こんなことをされたのは人生で初めてだ。






「…嘘、つくなよ」

『は…？』

「A、悲しそうな顔してる」


『…』


真剣な丸くて黒い瞳に見つめられて、またドキッと心が揺れる。

彼は手を放すと、少しばかり笑って、

「Aは笑ってた方がかわいいぞ」

そう言ってくれた。




『……そうか』



これも初めて言われた言葉なので、照れくさくなった。




その瞬間、分かってしまった。









私は、本当にジンペイが好きなんだ。

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