スキライ。 (ページ27)

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それから、数日が経った。

早く健二郎に会いたい気持ちでいっぱいだった。

「ねえ、広臣～」

「んーだよ」

「…あの子じゃなくて、あたしを婚約者にした方がいいと思うんだけど～？」

こうやって、広臣さんが好きな女の人達が
いっぱいやってきて話している。

「ごめん、俺Aにしか興味がないから」

そういって、あたしを抱き寄せる。
その姿を見て、女の人達は帰っていく。

…でも、最近広臣さんがおかしい。
無理してる…そんな気がする。

あたしと初めて会った日も
たぶん無理してた、はず。

ほんとうに好きな人が、いるんだと思う。

今日も一人、やって来た。

すごく、大人っぽくて綺麗な女性。

「…広臣」

「…、麻里奈…っ」

それに麻里奈さんの名前を呼んだ広臣さんは
…いつもの、広臣さんじゃない。

何か、あるに違いない。

「…広臣さん」

「ん、Aどうした？」

「少し、葛城さんのところに行ってもよろしいですか？」

「え…ああ、いいよ」

「…失礼します」

そういって、部屋から出てきた。

少し、申し訳なく…ドアに耳を傾けた。

「…やっぱり、今の子と婚約するの？」

「ごめん、麻里奈…」

「…あたし、お嬢様じゃないから
結婚なんて無理だけど…広臣とずっといたか……んっ」

「…俺だって、ホントはお前といたかった」

やっぱりそうだ
広臣さんの好きな人って…あの人だよ。

だから、いろいろ無理してたんでしょ？

…みんな、辛いんだ。