スキライ。 (ページ22)

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…結局、婚約者のふりする話は、
健二郎には言えなかった。

いや、いえるはずがない。

１ヶ月用事ができて、
休んでもらうことになるってことは
伝えたんだけど。

「ねえ、健二郎」

健「ん、なんや？」

「んーん、やっぱなんもない」

健「最近、そんなんばっかやで、ほんまに大丈夫なん？」

「大丈夫だよっ」

健「なら、ええんやけど」

こんな感じでずっと、繰り返し。

いつの間にか、

一緒にいれる最後の日になってた。

「ごめんね」

健「どうした？」

「ごめんね、１ヶ月も」

健「そんなん大丈夫やで～、
ちょっと俺も地元戻って親に会ってくるし」

「楽しんできてね」

健「Aも、楽しんでおいでや」

「…うん」

健「…なあ１ヶ月分、今日は甘えさせてや」

「えへ、いいよ」

「ん、」て言いながら甘えてくる健二郎。

可愛くて、ぎゅって抱きしめた。

そして、何度も何度もキスをした。

…なんか、ほんとに申し訳ない。

こんなに思うなら、断ればいい話だったよね。

…１ヶ月の辛抱。