知らなければ ページ18
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家を出て来たはいいけど、スマホもない財布もないだけどセブチの宿舎の前にいた場所には帰りたくない。
どうすることも出来なくてたまたま見つけた公園のベンチに座った。
しばらくぼぉーっとしてたら突然の雨。
もちろん傘なんて持ってなくてどんどん私の服や体は濡れていく。
もしあの時、本当の事を聞かずにいれば本当のことは知らなければ今頃はセブチの宿舎でみんなと笑えていたかもしれないのに。
「本当どうしよ…」
雨のせいでちょっと肌寒くなり、冷たくなりつつある手をパーカーのポケットに突っ込んだ。
「あ…」
手を突っ込んだポケットの中には、なぜかちょっとした小銭とこの前ジュンにもらった電話番号が書かれた紙が入っていた。
ジュンになら助けを求められる気がして、気付けば近くにあった公衆電話に手をかけていた。
冷えた指先でゆっくりと書かれた番号を押す。
受話器から聞こえる呼び出し音に緊張のせいなのか怖いせいなのか不安なせいなのか分からないけど心臓がうるさくなってくる。
JN『もしもし?』
正直、公衆電話からだし出てもらえないと思ってたからジュンが電話に出てくれたことに驚いた。
JN『Aちゃんでしょ?』
「ジュンさん…助けて…」
JN『今どこ?助けるから場所教えて』
「宿舎からちょっと歩いたところにある中央公園ってとこ…」
JN『すぐに行くから待ってて』
それだけ言ってすぐに電話が切られた。
公園に戻りさっきと同じベンチに腰掛けていると、遠くから誰かが走って来て、その人がジュンだとすぐにわかった。
JN「Aちゃん!」
「ジュンさん…」
ジュンは傘を持ってきてて、濡れた私を見たからか私の上に傘をさしてくれる。
JN「こんなに濡れちゃって…帰ろ?風邪ひいちゃうよ?」
「帰りたくない…」
JN「Aちゃんが何を聞いたから分からないけど、みんな探してるよ。それにもしかしたら誤解もあるかもしれないし。とりあえず風邪ひいちゃうから一度宿舎に戻ろう?」
正直あまり帰りたくないし、みんなの顔も見れるかどうかわからない。
さっき聞いた言葉が頭の中でずっと繰り返されててこのままジュンと一緒に宿舎に戻るべきなのか混乱してしまう。
JN「本当の事聞こうよ。ね?」
ジュンは私の濡れた髪を細くて綺麗な指でなぞるといつもみたいに優しくにこっと笑った。
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melody.(プロフ) - あみさん» コメントありがとうございます!最近なかなか更新できず申し訳ありませんでした、、これからも更新しますのでよろしくお願いします^^ (2019年9月9日 18時) (レス) id: 047933f534 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 更新お疲れ様です!お忙しい中更新して頂いてほんとに感謝します!忙しいなかほんとにありがとうございます! (2019年9月9日 8時) (レス) id: c0f44251b7 (このIDを非表示/違反報告)
melody.(プロフ) - 山内優菜さん» コメントありがとうございます^^体調まで気にかけていただきありがとうございます!優菜さんも熱中症など体調にお気をつけてくださいね^^ (2019年8月18日 2時) (レス) id: 047933f534 (このIDを非表示/違反報告)
山内優菜(プロフ) - 毎回楽しみにしてます!体調に気を付けて頑張って下さい(^-^)ゝ゛ (2019年8月17日 11時) (レス) id: 6807067b24 (このIDを非表示/違反報告)
melody.(プロフ) - yuinaさん» コメントありがとうございます!最近やけに忙しくなかなか更新出来ずにいましたが落ち着いてきたので更新を再開いたします!お待ちいただきありがとうございます^^更新遅くなり申し訳ありません。 (2019年8月13日 2時) (レス) id: 047933f534 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:melody. | 作成日時:2019年7月31日 11時