23話 ページ27
23話
家に帰れば、もう俺達はいつもの兄弟。でも、少し違うところがある。
智くんと約束したこと。それは、ちびっ子達の前ではいつも通り家族として接すること。もちろん、飾ることなく普通に。感情に嘘をつくことがこいつらを傷つけることはわかっていたから。
そして…。
｢時期が来たら、ちゃんとあいつらにも話そう。｣
俺が提案したこと。それは、俺達の関係をいつか絶対に打ち明けること。深く傷つけるかもしれないし、酷く罵られるかもしれない。でも、隠し続けることだけはしたくなかった。
それに…祝福はされなくても、受け入れてくれると俺は信じていたから。
俺達は寄せ集めの家族だ。でも、どんな家族よりも絆は強いって心から言える。だから、絶対に大丈夫…なんて、ただのエゴかもしんないけど。
｢あ、しょーちゃんとさとにいお帰りなさい！｣
｢しょーくん、あのね、俺テストいい点取った…！｣
｢しょーさん、ゲーム一緒にしてよ！｣
家に入ると、ぱたぱたと駆け寄ってくる3人。可愛いな、なんて思いながら1人ずつ言葉を返して言ったら、楽しそうに智くんが笑ってた。
…そうだ、きっと何にも変わらない。俺達はきっと、誰よりも幸せな家族になれる。そう確信出来た気がした。
＿＿＿＿＿＿＿＿ 5年後
｢ちょっと和！その言い方はないんじゃねえの？！｣
｢あーもうまーくんうるさ！潤くん行こ！｣
｢へいへい。あ、翔くん行ってくるね｣
智くんと想いが通じあってから、5年の月日が経った。まさきはあっという間に中学生になったし、かずとじゅんも来年中学入学を控えてる。
成長が嬉しくて微笑ましい毎日だが、俺達はまだ問題を抱えてる。
｢翔くん…そろそろヤバくねえ？｣
｢わかってるよ…わかってんだけどさ…。｣
そう、この5年間タイミングを逃しまくった俺達は、ついに大学に入学しても下の子3人に俺達のことを打ち明けずにここまで来てしまった。
｢はあ…どうしようマジで…。｣
＿＿＿＿第1章、完
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作者名：おうす | 作成日時：2017年6月7日 20時
