寄せ集めの僕ら。 (ページ15)

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12話ページ15

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S side

｢智くん、お迎えー。｣

終礼が終わって、そそくさと教室を出ていつも通り智くんのいる教室へ。
俺が入学してから毎日通ってるから、もう先輩とも完璧に顔馴染みになってる。智くんのいる席を見てみたら、いつも傍にいる先輩が手招きしてきた。

｢よう、智の弟！ついに兄ちゃんに春が来たぞ！｣

｢へ？春？｣

｢こいつ、恋してんだって！｣

｢おい、馬鹿！翔くん、帰んぞ｣

茶化すように笑いながら手を振る智くんのお友達を背に、智くんはずんずんと歩き出す。俺は慌てて後を追いかけて行く。

珍しい…こんなに不機嫌なの。そんなに恋愛事情聞かれんの嫌なのかな？友達なんだしそういう話しねえのかな？

｢ねー、智くん。好きな子ってどんな子？｣

不機嫌なのはわかってる。でも、何となく聞いてみたかった。智くんのハートを掴んだ女の子のことを。
ちらっと俺を見て、ため息をついた智くん。俺の視線に耐えきれなかったのか、重たそうな口を開いた。

｢…俺にとって、太陽みたいな奴。｣

太陽。
智くんにとっての、太陽。必要不可欠ってこと？そんな子、俺見たことない…。
それに何でだろ。なんとなく、胸が痛む。智くんが、俺達兄弟以外に気を配ってんのが嫌だからかな。弟心にも、寂しくなるよね？

胸が痛むのを抑えながら、前を歩く智くんの後を着いていく。
｢太陽みたいな奴｣、ね…。何となく、この言葉を懐かしく思うのはどうしてなんだろう。