28 ページ28
.
「…え?あらん?」
しめの大きな黒目がいつもより見開いて
吸い込まれそうなぐらいだった
…だけど
「そう。だから」
そう言って教室を出ようとした
「待って」
そう言って右手を軽く掴まれた
しめの目はすごく○んでいて
しめに甘えたい
わたしも好きだったんだよ、って言いたい
付き合って?って言いたい
抱きつきたい
そんな感情が生まれてきて
でも、すぐ冷静になった
訳の分からないわたしのプライド
「わたしは、しめのこと、
…好きじゃないよ?」
そう言い残して掴まれてた腕を振り払って
教室を去った
しめは追いかけてこなかった
好きな人に好きじゃない、って嘘をついて
好きじゃない人に好き、って嘘をついてる
「…ううっ、」
すぐにトイレに入って
自分が泣いてることに気付くのに
時間はかからなかった
この涙は何なんだろ
自分が惨めだって涙?
あらんに申し訳ないって涙?
…ううん違う
…しめのことが好き
好きじゃない、なんて言いたくなかった
大好きなしめに、あんな顔、させたくなかった
176人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:そら | 作成日時:2018年7月20日 22時