いろんな川村さん。(川村壱馬) (ページ4)

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そして次の日

「はい、はい、あーそうっすか、、、わかりました」

私のお出かけの準備が終わる頃、壱馬くんは誰かと電話中

「どうしたの？」
「A、、ごめん！！急に仕事入ってもうて、、」

、、、そっか、、それなら仕方ないよね、、

「わかった！頑張ってきてね！一人でお買い物でもしてこようかなー(笑)」
「ほんま、、ごめんな、、」

壱馬くんに気を使わせないように明るく話す

多分いつもなら、本当になんとも思わなかったと思う

でも仕事のストレスを今日のデートで晴らせると思っていた分、心の中は悲しさでいっぱいだった

「じゃあ、行ってくる、、終わったらすぐ帰ってくるから」
「うん！大丈夫だよ(笑)そんな顔しないで(笑)」

律儀な人だからドタキャンしてしまったこと、本当に悔やんでるんだと思う

ガチャとドアが閉まった瞬間、溜めていた感情がぶわっと湧き出て、涙が溢れた

一歩も動かず、ただ玄関で涙を流す

そのとき、またドアが開いて目の前には壱馬くん

「忘れ物した、、って、えっ！？」

忘れ物を取りに帰ってきた壱馬くんは、私を見て驚いた

咄嗟に手で顔を隠して

「わ、忘れ物？取ってくるよ、、」

リビングに戻ろうとする私の腕を壱馬くんが掴んでそのまま壱馬くんの胸に引き寄せられる

「ほんまは泣くほど悲しかったんや、、」
「ち、違うよ！目にゴミが入っちゃって、、へへ」

誤魔化そうとするも、私を捕らえる壱馬くんの目は真剣で、逸らせない

「あほ」

そう言われたかと思えば壱馬くんの顔が近づいて唇に優しい感触。

「我慢せんでええから、、仕事は仕方ないけど、Aの気持ち、ちゃんと教えてほしい」
「壱馬くん、、」

また治っていた涙がポロポロ溢れ出た

私の涙を親指で拭い、もう一度キスを落とす

「もう大丈夫、、ごめんね、泣いちゃったりして」
「謝るのは俺の方やから。すぐ、、、すぐ帰ってくる、ほんまに」

壱馬くんは私の頭をポンポンと撫でて、仕事に向かった

悲しさが伝わったことで、気も楽になった

よし、今日の晩御飯、壱馬くんの好きなもの作ろうかな。

今日は彼の優しさに助けられた日になった。