【男主】益者三楽 (ページ3)

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…

『横子ちゃーん』

黒「あ、ちょ、Aくん。」

『ねぇ、物理基礎の教科書ある？あと数学』

黒「えぇ、あるけど…あんまり大きな声で呼ばないで？」

『なんで？』

黒「注目されるの苦手なの！知ってるでしょ？」

プンプンしてる横子が可愛いからツイ毎回しちゃうんすよ。許して？

黒「数学は今からだから授業終わったら持っていく」

『あーい、ありがとう』

大「……」

女子に囲まれながらも、不貞腐れた顔してる大倉を無視して教室に戻る。

やっぱ学年一位の顔面偏差値で、横子ちゃんはモテる。

ヤスと僕の幼馴染で、最近引っ越してちょっと家が遠くなって寂しいなんて言ってくれる可愛い子。

ピアノできるらしいけど、家のお手伝いで忙しいから軽音部には誘われへんのよな……

物理基礎の教科書を手に席に戻ると同時にチャイムが鳴り、先生が入ってくる。

窓際の席、後ろから2番目。

隣は幼馴染のヤス。

先生の言葉を聞きながら外の世界に目を向ける。

少し向こうにある公園で子供がシャボン玉を吹いていた。

黒猫が、屋根の上で欠伸をした。

商店街のおじさんがシャッターをあけて中からでてきた。

その時、ふと僕の頭に歌詞が形になっていく、

物理基礎のノートを捲り、新しいページに殴り書きして行く。

『先生！体調が悪いので保健室行ってきます！』

先生「お、おう。保健室だな？行ってこい」

ノートを引っ掴んでパタパタ廊下を走る。

先生「おい、ほんとに保健室行けよ！」

先生の言葉も聞こえないほど、僕は急いでた。

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