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体温計を見て平熱を示す数字が表示され、よし、と小さくガッツポーズをした。
ベッドから起き上がり、壁にかけていた新品の制服に腕を通した。
今日から高校生だ。
結びなれないネクタイに苦戦していれば小さなノックがされ、扉から小さな顔がのぞいた。
我が家のアイドル蛍ちゃんである。
「ねぇねおきてますか！」
『起きてます。おはよ蛍。』
「ねぇねあたらしいふく？」
『そ、似合ってる？』
「かぁいい〜！」
『蛍もかぁいい〜！』
もっちもちのほっぺを押したり引いたりを繰り返せばきゃっきゃっとはしゃぐ蛍。めっかわである。
蛍を連れて下に降りれば父が朝食を摂っていた。キッチンにいる母が私に「おはよう」と言った。
「今日から高校生かぁ・・・早いなぁ。」
「体調はどう？」
『大丈夫。』
「入学式、具合が悪くなったらすぐに休むのよ。学校の先生には体のこともう話してるから。」
『はいはい。』
昔よりは良くなったとはいえ、私は相変わらず両親にはかわいくない態度を取っている。
蛍がいなけりゃこの家の空気は最悪だっただろう。
「父さん午後から仕事休むし学校まで車乗せてやろうか。」
『いい、廻と一緒に行くから。』
「そ、そっか・・・。」
「ぱぱしょんぼり？」
「うん、ぱぱしょんぼり。」
蛍に慰めてもらっているお父さんを横目に朝食を平らげる。
「もう行くの？入学式は午後からでしょ？」
『パトラッシュの散歩ついでに廻の家行ってくる。多分まだ寝てるから。』
さっきから何度も廻にメッセージを送っても既読がつかない。ついでに優ちゃんも。
また個展をやるから最後の追い込み！て夜通し描いてる言ってたからなぁ・・・。寝落ちてるなこれ。
「元気だからって無理しちゃだめよ。」
『わかってる、いってくる。』
庭に周り、パトラッシュを呼べばのろのろとこちらに寄ってきた。
すっかり歳を取ってしまったパトラッシュは最近あの頃のように動き回らなくなってきた。
『・・・行こっか！』
心の奥底に感じる小さな痛みを無視していつものように撫でれば、パトラッシュはいつもと変わらない鳴き声で返事をした。
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みかん - 更新待ってる (1月2日 17時) (
レス) id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
ミホ(プロフ) - 続きが気になるーー！！ (7月6日 13時) (レス) @page49 id: 9767c8e410 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - めっちゃ面白いです…！ (2023年1月26日 22時) (レス) @page45 id: aa1635ecd6 (このIDを非表示/違反報告)
MEI(プロフ) - 思わず涙が出そうになって必死に堪えてます…文才ありすぎでは？？これからも頑張ってください、! (2023年1月23日 22時) (レス) @page43 id: 17b5c545cd (このIDを非表示/違反報告)
みく - 面白いです！夢主しんで欲しくないなぁ〜(´・ω・｀) (2023年1月23日 7時) (レス) @page43 id: 6bb1bb04aa (このIDを非表示/違反報告)
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