青い夢を、いつかの君へ贈る

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　「へ、また入院すんの？やっと退院したのに！？」

　 私の部屋で夏休みの課題を進めていた廻が大きな声でそう言えば私の傍で眠っていたパトラッシュが飛び起きた。

　『うん。前々から夏休み利用して神奈川の病院に検査入院する予定だったから。なんかいいお医者さんいるって紹介されて。』
　「かながわ・・・。いつから？どんくらい？」
　『８月入ってすぐ、期間は、んー、一週間か、二週間？』
　「えー！！！！俺の誕生日過ぎちゃってんじゃん！！」
　『そうだねぇ、今年は直接お祝いは無理かなぁ。』
　「やーだー！！」

　 課題を下敷きにしてテーブルに項垂れる廻。
　 慰めるように頭を撫でればか細い声が聞こえた。

　「今年はプレゼントないの？」
　『ん？用意してるよ？いつもの花屋でもう予約してるから当日廻の家に配達してもらうから安心しなよ。』

　 私は毎年廻の誕生日には花をプレゼントしている。
　 中学生のお小遣いで買える範囲だから決して豪華ではない３本ほどの質素な花束だけど廻は毎年喜んでくれる。

　「やだ・・・手渡しがいい。蝶から直接渡してくんなきゃやだ。」
　『それだと廻の誕生日終わっちゃうよ。』
　「いいよ。過ぎてもいいから・・・ちゃんと俺に直接渡して・・・。」
　『・・・わかった。廻がそうしたいなら戻ってきてから渡してあげる。』
　「ほんと！？絶対だかんね！？」

　 廻は勢いよく顔をあげればさっきとは打って変わってキラキラとした目で私をまっすぐと見た。
　 廻がそこまで私からの手渡しを喜んでいるとは知らなかったから、自然と顔がにやけてしまう。

　『ま、それも廻が夏休みの課題をちゃんと終わらせてたらの話ですけどねー。ほら、そこまた間違えてる。』
　「え゛っ！！誕生日までに終わらせるとか絶対むりっしょ。俺のことなんだと思ってんの？」
　『夏休みの課題を夏休み終わってもやらない問題児。』
　「せーかい♪」
　『あは、せーかい♪じゃなーいーのー！毎年優ちゃんや先生たちから泣きつかれる私の身にもなってよ！監督にまで泣きつかれるんだから！』
　「や〜持つべきものは成績上位者のお嫁さんだね！」
　『マジで終わらなかったら今年手渡しどころかプレゼンとナシにしてやろうか。』
　「ぎゃおす！！」



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