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  目を覚ませば見慣れた白い天井と消毒液の臭いだった。
  発作から目を覚ましてこの光景が先に目に入るたび、「ああまだ生きてるんだ」と自覚する。
  自分にとっては、この通いなれた病院は死に場所に近い場所なのに。

  目線だけを窓へ向ければ空はもう真っ暗だった。

 『?』

  右腕が重たい。
  窓からそちらに視線を移せば見慣れた頭が右腕に乗っていた。
  一体どれだけ私の右腕を枕にしていたのか、痺れて感覚がない。

 『め・・・けほっ・・・めぐる。めーぐーるー。』

  痺れを我慢して腕を揺らせばゆっくりと体を起こした廻。
  寝ぼけ眼で私を見る廻の顔は、私が気絶してからもずっと泣いていたのか目元が赤く腫れていた。

 「!蝶!!」
 『声大きいよ・・・。』
 「あ、えと・・・えと。」

  廻は混乱しているのかまた目に涙を浮かべた。
  私はまだ痺れる右手で流れそうな涙を拭った。

 『今日のヒーローがそんな顔しちゃだめでしょ。』
 「だって、だって死んじゃうかと。」
 『うん、ごめんね、怖かったね。』

  廻の頬を撫でれば落ち着いたようで、あの後のことをぽつりぽつりと教えてくれた。
  あれからかなりの時間眠ってしまっていたこと。
  私が倒れたと聞いて病院に駆け付けた両親も、今は蛍を寝かせるために一旦家に帰ったこと。
  暫くは入院することになること。
  祝勝会は焼肉だったこと。

 『・・・て!祝勝会参加しなかったの!?今日のMVPなのに!?』
 「うん。当たり前じゃん。蝶が死にかけたのに肉なんて食えないよ。」

  むしろあいつらよくあの状況で焼肉いけるよね?

  廻はサッカー部の皆を薄情だと眉間にしわを寄せた。
  まあ私も多少寂しい気持ちはあるが、どのみち監督が今日は勝っても負けても焼肉屋を予約していたのだから仕方ないだろう。

 『そっか、じゃあ退院したら二人でお祝いしよっか。』
 「ホント?」
 『ホント。』

  廻の前髪を撫でれば、ようやく廻はいつものように笑った。

 『廻、今日はすごくかっこよかった。』
 「でしょ♪」
 『・・・最後に廻のハットトリックを傍で見れてよかった。観客席じゃあの迫力は伝わらないね。』
 「・・・マネージャー、やめちゃうの?」
 『うん・・・そろそろ体がもたないかもとは思ってたからね。』
 「そ、か。」

  廻はまた泣きそうな顔をしたけれどまた笑った。
  無理に笑った顔だった。


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みかん - 更新待ってる (1月2日 17時) (レス) id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
ミホ(プロフ) - 続きが気になるーー!! (7月6日 13時) (レス) @page49 id: 9767c8e410 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - めっちゃ面白いです…! (2023年1月26日 22時) (レス) @page45 id: aa1635ecd6 (このIDを非表示/違反報告)
MEI(プロフ) - 思わず涙が出そうになって必死に堪えてます…文才ありすぎでは??これからも頑張ってください、! (2023年1月23日 22時) (レス) @page43 id: 17b5c545cd (このIDを非表示/違反報告)
みく - 面白いです!夢主しんで欲しくないなぁ〜(´・ω・`) (2023年1月23日 7時) (レス) @page43 id: 6bb1bb04aa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年12月8日 1時

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