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夜に苦しくなって目を覚ます。
何度も咳を繰り返していると部屋の扉が開かれ、廻のお母さんが入ってきた。
背中を何度も優しく撫でてくれて、暫くして落ち着いた。
『けほっ・・・ごめんなさい・・・。』
「ん?」
『私のせいで、起こしちゃって・・・。』
「ああ、いいのいいの!おばさんまだ起きてたし、辛いのは蝶ちゃんだからね。」
そういって廻のお母さんは私の頭を撫でた。
お母さんと違った、ちょっと強めの撫で方だ。
「おいジーコ!!」
『わ。』
同じベッドで寝ていた廻が突然叫んだ。
彼の方を見れば親指を咥えて眠っていた。
「パス!ジーコパース!!」
『え・・・寝言??』
「いつものこと。うるさいならおばさんの部屋で寝る?」
『・・・。』
首を横に振った。
「そか、でも目覚めちゃったでしょ。ホットミルク飲む?」
『おことばにあまえて。』
私がそう言えば廻のお母さんは笑って私と一緒にリビングに向かった。
リビングに向かう途中、明かりがついたままの廻のお母さんの作業部屋が見えた。
好奇心に負けて中を覗けば、大きな「かいぶつ」の絵があった。
青い炎のような、煙のような、存在していないようで、確かにそこにいて、ずっと私を見ている。
廻が見えているかいぶつも、こんな姿をしているのかな。
「はい、どーぞ。」
『!』
体感よりも長く絵を見ていたようで、目の前に湯気が立つホットミルクが差し出された。
お礼を言えば、廻のお母さんはまた頭を撫でた。
「見てく?」
『・・・うん!』
廻のお母さんは椅子の上に積まれた物を適当に床に置き、きれいになった椅子に私を座らせた。
自分の分のホットミルクを少し飲んでパレットと筆を持ち、かいぶつを描き始める。
『・・・廻のお母さんのなかにも、かいぶつはいるの?』
「いるよ。」
『見えるの?』
「うん。」
『・・・普通は、見えるものなの?』
「んー・・・どうかなぁ、見える人もいれば、見えない人もいる。見ないふりをしている人もいる。」
『私は、廻のかいぶつは、いるのがわかってるのに見えないの・・・これって見ないふりをしてるってこと?』
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みかん - 更新待ってる (1月2日 17時) (レス) id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
ミホ(プロフ) - 続きが気になるーー!! (7月6日 13時) (レス) @page49 id: 9767c8e410 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - めっちゃ面白いです…! (2023年1月26日 22時) (レス) @page45 id: aa1635ecd6 (このIDを非表示/違反報告)
MEI(プロフ) - 思わず涙が出そうになって必死に堪えてます…文才ありすぎでは??これからも頑張ってください、! (2023年1月23日 22時) (レス) @page43 id: 17b5c545cd (このIDを非表示/違反報告)
みく - 面白いです!夢主しんで欲しくないなぁ〜(´・ω・`) (2023年1月23日 7時) (レス) @page43 id: 6bb1bb04aa (このIDを非表示/違反報告)
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